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2010年7月

クッシング症候群

先日、上野公園を散策しました。sun
梅雨の間待ちわびていましたので、酷暑でしたがギラギラと照りつける太陽が嬉しい日でした。
ところどろこで路上のパフォーマンスがあり、あれも大道芸と呼ぶのでしょうか、球場では少年達が白球を追いかけていたり、カップルが氷を分け合っていたり。confident
木漏れ日が熱線のようでしたが、木陰も多くある上野公園はよい散歩道かもしれません。


このような暑い日にはワンちゃんの食欲がなくなることがよくありますが、それでもモリモリと食べて、お水を異常なくらいに飲む子もいます。

そのような子が来院しました。
とにかくお水をよく飲むとのこと。お話を聞きますと、1日に体重1kgあたり100cc以上。
だいたい体重10kgの子で1リットル以上飲む計算です。
これは明らかに異常です。
よく食べることも、もしかすると病気のせいかもしれません。
お腹も丸々としています。

いろいろと検査を行いました。
血液の検査や副腎皮質ホルモンの検査も行いました。
そこで出た診断名は「クッシング症候群」です。

この病気の治療は薬を使った、いわゆる内科治療が中心です。
FDA(アメリカ食品医薬品局)が獣医師向けにこの病気の治療薬の使用法に関するガイドラインを公開しています。
トリロスタンという薬が唯一FDAが認可しているクッシング症候群の治療薬です。
この薬は高価で1錠でランチを食べられるくらいです。

文献的にはその他いくつかの薬の治療方法がありますが、飼い主さんといろいろとお話をした結果、副作用が少ないものを選びたいとのことで、FDAも認可するトリロスタンを使うことになりました。

治療開始2週間くらいでだいたい満足できる結果が得られました。
水を飲む量は治療成果の目安でもありますが、これが減ってきました。
しかしながら、食欲は変わらず旺盛です。
お話を伺いますと、ジャーキーが大好きとのことでした。
好きな物が好きなだけあるようですので、食欲は落ちそうにありません。

お薬を使い始めて1カ月。
ゆっくりとですが、体型がよくなりました。
検査結果も良好です。
次の検査は3カ月後。
さらによくなることを期待しながらの3カ月です。confident

温かく見守って

犬の保護施設から譲り受けたと言うことで、ワンちゃんをお連れになりました。
事前に獣医師に健康診断を受けたとのことでした。

お散歩中に突然倒れてしまうのだそうです。
まだお家に迎えて間もないのに。

いろいろと調べますと心臓の病気がみつかりました。
それが影響して肺もよくありません。
僧帽弁閉鎖不全症、心不全、肺水腫と呼ばれる特にある程度お年を重ねたワンちゃんではよくみる病気です。

食欲があって食事もよくよりますし、自分の体調を気にせずに走り出してしまうほどです。
しかし、すぐに体がついていきません。
咳だけではなく、昨日は少し血液混じりのものを咳と一緒に吐き出しました。
レントゲンもあまり興奮させないように慎重に撮りました。

検査をして病気のことがわかると、飼い主さんにどのようにお伝えすべきか悩みました。
保護施設から身寄りのないワンちゃんを引き取られた優しい方。
なかなかできることではありません。
見るからに、ある程度のお年ですし。

慎重に状況をお話しますと、優しい笑顔で、「仕方がないね、年齢だもの。」
と。
これから行う治療のことや、その治療費の説明をし、危ないこともお伝えをし、入院することになりました。

この子は幸せなのだと思います。
おそらくはこの出会いがなければ、病気のせいで苦しい思いをしたでしょう。

優しい笑顔で温かく見守ってもらって。
今日はあまり咳をしません。
ゆっくりと治療の成果がでてきたのかもしれません。
食欲は相変わらずモリモリですよ。

まずはお腹いっぱい食べて、ゆっくりと休んで。
涼しい部屋でよく寝ています。

内視鏡検査

昨日と今日で行った内視鏡検査は3件でいずれもワンちゃんでした。dog
胃の検査をしたのが2匹、大腸の検査が1匹です。

みんな深刻な状況が毎日続いているわけではないのですが、時々吐いてしまうを繰り返し、一般的に考えられる軽度の胃炎よりは嘔吐の頻度が高いものでした。また、便の状態が思わしくない子もいました。

どうぶつの場合、内視鏡検査でも麻酔が必要です。
口を開けたまましばらく同じ姿勢でいなければなりません。

まずは嘔吐が主症状のワンちゃんをみてみますと、胃の出口に近いところで軽い炎症がありました。
概ね健康と考えてもよいものです。
朝によく吐いていたので、ワンちゃんに多いタイプの胃炎の治療をしていましたが、反応が思わしくありませんでした。経過も長めでしたので、飼い主さんはとても心配されていました。
そこで、精密検査をお勧めし、実施することになりました。

内視鏡の写真を見て頂きましたが、やはり最も有用なのが、少しだけ取った胃粘膜の細胞検査です。
結果が出るまでにしばらく時間がかかりますが、多くのことがわかると思います。

次ぎのワンちゃんも吐き気が続くとのことでした。
この子は前のワンちゃんとは異なり、食欲にもムラがあります。
飼い主さんは症状がみられるのが時々ということもあり、あまり心配はされていませんが、今回別の手術をすることになったので、麻酔をかけるのであればと希望されました。
前の子と同様に、胃の出口付近に赤みが濃いところがありました。

最後には大腸の検査です。
この子も非常に元気で、体重も少しずつ増えています。
しかしながら、便に血が混じることが度々で、一般的な治療には反応しませんでした。
症状から、病気の原因は大腸にあるとわかっていますので、内視鏡検査をすることにして、実際に目で見て調べることにしました。
赤かったり、逆に白っぽかったり。

みんなの異常なところを少しずつ取って、病理検査を行っています。
検査結果は数日かかりますが、はっきりとした原因がわかると思います。

確定診断がなければ正しい治療とは言えませんので。

でも、内視鏡検査で大変なことになっていなくてよかったと思います。
大きなできものがあったり、炎症がひどければ、こらからの治療も大変になりますから。
おそらくはみんな薬でよくなるだろうと考えています。

まずは病理検査結果待ちです。
confident

マイナーケース

今日の東京はこのまま雨なのでしょうか?
七夕なのに。
夜には少しだけでも星空がみたいものです。shine


先日、突然に体調を崩したワンちゃんが連れて来られました。
お昼にはいつもと変わらない様子だったようですが、飼い主さんが夜にお仕事から帰られるとぐったりしていたとのことでした。
飼い主さんも、お心当たりがなく、なぜ突然に元気だった子がこのようになってしまったか、いくらか狼狽されていました。

このような場合、急変の可能性もあります。
まだ何も原因がわかりませんので、まずは基本どおりに身体検査から始めました。
ワンちゃんは自分でうまく立つことができません。
フラフラしています。
この子は当院に始めて連れて来られましたので、いつもどのような様子なのかがわかりません。
飼い主さんへの問診も大切なことです。

肺の音がおかしいいですし、舌の色もよくありません。
血圧はいくらかしっかりとしていますが、不整脈があります。
まずは循環器と呼吸器を調べる必要があります。

胸部のレントゲン検査を行いました。
・・・今回は、よくある病気(メジャーケース)か、めずらしい病気(マイナーケース)か。

巨大食道です。
治療が難しい、マーナーケースです。

巨大食道は、その名のとおりに、口から入った食べものや飲み物が胃に運ばれるまでの通り道、食道が太く大きくなってしまう状態です。
こうなると、食べたり飲んだりしたものが胃に入る前に、食道に留まってしまい、何かの刺激でそれらを吐き出してしまうことがあります。
吐き出したものは、そのまま口から出るとよいのですが、ときに肺に入ってしまうことがあります。
吸引性肺炎とか、誤嚥性(ごえんせい)肺炎などとよばれます。
これは命に関わることがある肺炎です。

食道の様子をしっかりと知るために、バリウムを飲んでもらって、再度検査です。
大きくなった食道がはっきりとわかりました。

ここからがスタート地点です。
巨大食道はレントゲンでわかりますが、わかりやすいわけではありません。
普通、食道は健康なものですとレントゲンではわかりません。
今回の巨大食道がわかりやすいものだったという偶然もあるのかも知れません。
そして、巨大食道を引き起こす原因は非常に多く、多岐にわたります。

神経・筋疾患
食道閉塞性疾患
中毒
その他

だいたい30-40ほどの疾患が巨大食道の原因になり得ます。
その中でも最も巨大食道を引き起こしやすいものは、重症筋無力症(Myasthenia gravis)とう病気です。
この病気が巨大食道の原因であれば、その50%ほどが治療に反応するというデータがあります。
しかしながら、それでも50%ですし、他の原因であれば、20%-46%ほどの快復率です。

この重症筋無力症を診断するには、アセチルコリンレセプター抗体値というものを調べます。
そのように、30-40もの病気の原因を一つ一つ調べることは容易なことではありませんが、身体検査や一般的な検査で除外できるものもありますから、できるだけ診断までの近道を進みたいところです。

飼い主さんは日毎に元気になるワンちゃんをみて、昨日ははじめて笑顔でした。
今は幸運にも治療に対する反応が良いですし、明らかに元気になっていますが、どこで変化するかがわからない怖い側面もあります。

この子に何が起こったのか。
どうなるのか。

飼い主さんが一番に気にされていることへの回答を早くご提示すべく、検査結果が待たれるところです。

お預かりから3日目ですが、かなり元気になりました。
はじめは横になったまま酸素マスクが必要なくらいだったのに。
よく頑張ったね。

今日も元気です。
ご面会の時の飼い主さんの笑顔がまたみられそうですよ。

メジャーケース

動物病院でみる病気の多くはメジャーケースと言われる、一般的な病気です。
原因不明や原因の解明ができないようなめずらしい病気をみることは実は少ないことです。

先日、ネコちゃんが来院しました。

ご飯を食べないとのことで、他の動物病院で1週間ほど入院をしていて、そのまま転院して来られました。
血液検査では肝臓の酵素の値が高いとのことで、肝臓のお薬、そして、ウイルス感染症に使われるインターフェロンの治療を受けながら、改善がみられなかったとのことでした。
しかしながら、原因不明とのことでした。

他の動物病院に入院中から、いろいろとご相談があり、お話を聞いていました。
当院に転院されて来ました。
まずは身体検査から始めました。
あれっ?もしかして
レントゲンを撮って、確認しました。
やっぱりそうです。

便秘です。
身体検査で触診をしているときに、お腹に大きな便の塊を触りました。
しかし、あまりにも大きい塊でしたので、一応レントゲンで確認をしました。
ネコちゃんの便秘の場合、骨盤の骨の変形が原因の場合もあります。
検査では同時にそれも知りたいことでした。

わかったのは重度の便秘ですが、これだけなのかどうか。
また、便秘が原因で食欲がなくなったのか、または、他に食欲がなくなるような原因があって、それで便秘になってしまったのか。

とりあえずは、重度の便秘を解決すべく、治療をはじめました。
当然ながら、便秘以外の病気を調べるために、血液検査や他の検査も同時に進めました。

便秘が治ると、食欲が出てきました。
また、その他の検査では異常がみられません。

原因不明とされたものは重度の便秘でした。
飼い主さんも笑顔でした。
やっぱり難病と考えて深みにはまるよりも、よくある病気を再検討することは、結果診断までの近道のことが多いようです。

また便秘になってしまうかもしれませんので、食事療法のお話をしました。
おそらくは、便秘を血液検査で知ることは困難だと思われます。
今回は軽いものではなく、かなり重度でしたが、それでも、です。

数日かかりましたが、治療の後で食欲がでてきました。
それから1週間後に来院されたときには、すっかり元のとおりでした。

よかったねhappy01
ねこちゃんcat

会陰ヘルニア

散歩が大好きなワンちゃんですが、便の出が悪く、力むと痛みを訴えるように鳴いてしまいます。bearing

飼い主さんはどのような病気なのかご存じでした。
便秘ではなく、会陰ヘルニアという病気です。

おしりにはいろいろな筋肉がありますが、尾の付け根近くの筋肉が薄くなったり小さくなったりして裂けてしまい、そこからいわゆる脱腸になってしまったものです。
ほとんどが去勢手術を受けていない男の子に起こります。

大腸がその裂け目から飛び出していますから、腸から肛門までが真っ直ぐではありません。
飛び出したところが曲がっています。
それが故に、排便で力をいれると強い痛みがあるようです。

飼い主さんは大変に心を痛めていらっしゃいました。
手術しか治療方法はないことを理解されていて、でも、手で脱腸をもとに戻すとしばらくは調子がよいこともご存じで。
手で戻す場合、痛みはあまりありませんが、また脱腸するのは時間の問題です。
そうなると力む度に痛みがありますし、戻さないと全く便がでません。

手術をしようか、もうちょっとだましだましやってみようかの葛藤があり、結局手術を決断されました。

今回はだましだまし作戦が通用しますので、手術だけが解決策ではありませんが、完治を目指す場合には手術以外にはありません。


膨らんだ脱腸部分を切開しますと、薄くなって縮んだ筋肉が裂けています。
肛門の近くの筋肉の間から脂肪や腸が出ていました。
丁寧に糸をかけて、その裂け目を閉じます。
結構太い血管や大切な神経がありますので、慎重に慎重に手術を進めました。

手術が終わった後は予想よりも元気でしたが、食欲がありません。
どうみても具合が悪そうではなかったので、早めに退院してみることにしました。

早速、他院翌日の来院日、飼い主さんは大変喜んでくださいました。
便もしっかり出て、全く痛そうじゃないのhappy01
よかったよかった。

僕もホッとしました。
手術はうまくいっていると思っていましたが、食欲がないことが、単に病院だからか、他に何か問題があるのかわかりませんでした。
かと言って、手術が終わったばかりの子をいろいろと検査をするよりは、元気には違いがないのだから、一度お家に帰ってみる選択をした方がよいだろうと考えました。
結果は早めに退院して正解です。

手術の時に毛を短く刈りました。
お尻だけに毛がありません。

まあ、それもかわいいよ。
楽になってよかったねconfident

7月になりました

7月になりました
早くに梅雨が明けるとよいですねthink

なかなかブログを更新できないでいました。
ブログ見ていますよwinkの声に申し訳なさを感じていました。
いつもながら。


昨日、田舎から両親がやってきました。
両親は九州からなのに、いつも上京するときには日帰りです。
うちは狭いので、どこかに泊まれるようにするからと言っても、ダメなようです。
昨日の昼食を一緒にとって、うちに行こうかと話していると、このまま帰ろうかなあと言い出します。
まだ羽田airplaneに行くには早すぎます。
一応うちに寄り、お茶飲んで、予定よりも早くに羽田に向かうことになりました。
もう満足だから、と言って。

しかし、考えてみますと、本当は僕の方が帰省すべきで、数年帰っていない親不孝者です。
仕事ばかりしていることをよく理解してくれて、逆に、帰ってこいとも言わずに来てくれます。
実は僕は九州男児で長男です。
ここで開業することにも何一つ言わずに応援してくれました。
家業を継ぐことなく、獣医師になりました。

ここ最近走りっぱなしで、どこかの給水場に寄らなければ、その先しっかりと走れないような、そんな弱気になることもありました。
限られた時間の中で、自分なりに給水場を見つけなければなりませんでした。
6月、さらに梅雨の湿気が追い打ちをかけます。

両親に会いました。
そう言えば、一度も帰ってこいなどと言わない、そんな優しさを今回初めて考えました。

いろいろな応援に応えるべく、期待を込めて来院いただく皆様にしっかりと応えるべく
今回は走り続ける元気をもらいました。

7月になりました
早く梅雨が明けるとよいですねhappy01

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