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2010年11月

気持ちの準備

年末年始の診療日のご案内をしています。
→日本橋動物病院 診療スケジュールのページへのリンク
12月31日から1月3日まで休診いたします。
12月30日と1月4日は通常どおりです。

12月4日(土)の午後は院長が不在です。
代わりの獣医師が診療を担当させていただきます。


先日ネコちゃんが来院したときのことです。
飼い主さんは他にもネコちゃんを飼われていまして治療にお連れになったことがあるのですが、今回のネコちゃんは初めての来院でした。
前に連れてきた子と違って暴れます。大丈夫でしょうか。
僕がネコちゃんが入ったキャリーケースを開けようとしたときに飼い主さんはまるで「まだ開けないで」と言うようにそのケースの扉を手で押さえながらそう言われました。

キャリーケースの中からは穏やかなネコちゃんの鳴き声かします。

実際には開けなければわかりませんが、たぶん大丈夫ですよとお応えし、ゆっくりと扉を開けました。
ここはどこ〜?とキョロキョロするネコちゃん。
その後診察をしてお腹をはじめ体のいろいろなところを触診して治療まで終わりました。
終始穏やかで、非常に治療にも協力的なネコちゃんでした。

一番驚かれていたのは飼い主さんです。

ネコちゃんが暴れてかなり手こずるのではないかと心配されていました。
実際に他の動物病院では暴れてしまって検査も治療もできなかったこともあったようです。

日頃は根拠に基づいた検査と治療を心がけていますが、証明不可能な心のこともいつも考えています。
どうぶつは人と言葉で会話することはできませんが、物言わない心と心で会話できているのではないかと思っています。
こちらが緊張して構えてしまうとそれに応えるようにどうぶつ達は反応します。
飼い主さんがとても幸せな時間はその気持ちを共有し、逆にとても落ち込んでいらっしゃるときにはどうぶつ達も気持ちが沈んでいる場面に遭われたこともあると思います。

どうぶつ達の心はまるで環境を映し出す鏡のようなもので、すぐそばにいらっしゃる飼い主さんが緊張されていると、じんわりと肉球に汗がにじんでくる子がいます。飼い主さんだけではなく、僕達どうぶつ病院スタッフが緊張していても同様です。

ことばを使わないコミュニケーションですので、ごまかすことができません。
勢いのあるワンちゃんに見せかけだけではなく、心から余裕を持って接することは実は簡単ではありません。ネコちゃんの場合も同様です。
気持ちだけでも、技だけでもだめな場合があります。
テクニックをもって冷静に慎重に、そして優しく心を保つことを心がけています。
看護士には診察室に飼い主様やどうぶつをご案内する前に、お迎えする気持ちの準備は大丈夫かを確認するように伝えています。
ごまかしの効かない、優しい真剣勝負です。

FCR

少し古い情報なのですが、sonyのウォークマンがappleのiPodを月間の販売台数で抜いたというコメントを読みました。現在はどうなのかはわからないのですが、ウォークマンというのは懐かしい響きでした。
僕がまだ学校に通っているときは、携帯して音楽を聴く物は何でもウォークマンと呼ばれていた気がします。当然ながら、ウォークマンはsonyの製品だけですが、他社製品であっても同じように誤ってウォークマンと呼ばれていた気がします。


レントゲン撮影したものをデジタル処理をして見ることができます。
CR(Computed Radiography)と呼ばれる物です。
現在はいろいろなメーカーさんから出されていますが、富士フイルムメデジカルさんの物が有名です。
富士さんのFがついてFCRという物ですが、僕にとってはCRというとFCRです。
他社製品であっても、うっかりFCRと言ってしまうことがあります。
ウォークマンのように。

先日、当院のデジタルレントゲンのメンテナンスでメーカーさんが来て下さいました。
「1年経ちましたよ。happy01
メーカーさんは懸命に定期的な画質調整をして下さっています。
このデジタルレントゲンを導入して早くも1年が経ちました。


僕がまだ大学生の頃に、後の就職先になる京都の動物病院に実習に行ったときのことです。
先輩獣医師にいろいろなことを教わる中で、その動物病院に導入されていたFCRという器機の説明をされました。
それはレントゲンをデジタルで処理するもので、非常にきれいに現像されていました。
通常レントゲン検査では、レントゲンフィルムが入ったカセッテと呼ばれるものに照射して、暗室で現像を行います。
しかしながら、FCRは暗室処理をすることなく自動でフィルムに現像されていました。
大変に高価な器機であり、導入しているところはあまり多くはないと、誇らしげにお話をされていたことを思い出します。

まだ学生ながら、これから自分で動物病院を始めるときがきたら、いつかはFCRを導入したいものだという憧れがありました。

それからかなりの時間が過ぎました。
開院から3年にも満たない時期でしたが、多くの方にご来院いただき、レントゲン検査の機会も多くなったとろで導入を決めました。
その動物病院のものとはさらに進んだ物になりました。
フィルム出力をしない、いわゆるフィルムレスでの検査です。
心臓の大きさを測ったり、骨の太さをみたり、他で行ったCTやMRIの検査データを3Dにしていろいろな角度からみたり、これまではできなかったことが簡単にできるようになりました。

今では普通に使っていますが、メーカーさんの「1年経ちましたよ」の言葉は、いろいろと思い出すこ機会になりました。
開院したばかりの頃はいつ導入できるのかわからないと言うよりも、導入そのものを考えることもしないほどでしたので感慨深いものがあります。

業者さんがいろいろなメーカーのCRを紹介して下さいましたが、やはり憧れのFCRに決めました。
ちょっと専門的すぎるお話でした。

お休みの日には

休日診療をしていますとよく聞かれます。
お休みはないんですね。

実際に動物病院に来なくても良い日はありません。
外来受付をしていない、いわゆる休診日でも入院の子の治療やお食事、面会がありますし、急患もありますよ。

それでも外来受付がありませんから、普段の日よりもゆっくりと時間が流れます。
本屋さんで時間を過ごすこともできますし、外で食事をすることもあります。

昨日は夜のお問い合わせでした。
飼い主さんも驚かれていました。
お電話がつながるとは思わなかったのですが、かけてみたらつながりました。
winkそうなんです、つながりますよ。

休診日や夜間でも、できるだけお電話には出られるようにしています。
これはこれまで仕事をしてきた前の動物病院の時から続けていることです。

そして休みの日に本とコーヒーを楽しむのは、獣医師になってからずっとのことで、10年以上もこのスタイルです。以前は合間の時間を見つけては映画館にもよく行きましたが、最近は映画をみるほどの合間の時間はありませんねえ。

23日(祝日)と24日(水)は連休をいただきました。
やはり、休診日診療やお問い合わせのお電話が多くあります。
カレンダーどおりのとは言え連休は考えないといけませんね。
どうぶつ達、ご家族の方々に何かあったら?とご心配をおかけすることになります。

少しノドの調子がよくありませんでしたので、ちょうど良い休養をいただきました。
ありがとうございました。

お祭り

病院スタッフとよく行くイタリアンがあります。

7月から一緒に仕事をしている動物看護士が今月で3か月が過ぎ、さらに新しい動物看護士が先月から仕事をしていますので、今月はじめに小さな食事会をしました。
(現在当院の動物看護士は4名です。開院からずっと一緒に仕事をしている看護士が2名、そして新しい看護士が2名。ときどき手伝いに来てくれる獣医師が1名います。)

イタリアンレストランの方々もたまに来る客として顔なじみのこともあってか、いつも優しく迎入れて下さいます。いつものようにお腹いっぱいになるまで食べてしまい、食べ過ぎをこれまたいつものように反省しているところに、案内をもらいました。ハガキよりも少しだけ大きいチラシです。

「からいもどん祭り」

「からいもどん」とは、このお店の看板メニューのようにいろいろな料理に使われている黒豚のことです。
ちなみに、からいもとはサツマイモのことです。
聞いた話ですと、サツマから来たイモだからサツマイモ。サツマの方々にとっては、唐(トウ、カラ)から来たイモだからカライモなのだそうです。(聞いた話です。)
そのサツマイモ、すなわちカライモをたくさん食べて育った黒豚のことを「からいもどん」と呼ぶのだそうです。
このお店の3周年記念イベントとして、このからいもどんをたくさん使った料理が出るのだそうです。

お腹いっぱいになったばかりでしたが、行かなければ。
そうスタッフにも約束し、当日を迎えました。

夜の外来受付が終了し、一段落したところで「からいもどん祭り」に出かけました。
いつもとは違って立食です。
すでに始まって数時間が経っていますし、お祭りの終わりが近づいているところでした。

お店の方々も気を遣っていただき、温かいお料理をビュッフェテーブルではなく僕たちの席まで運んで来て下さいました。ここから大変でした。
だんだんとお腹が満たされていくなかで、お店の方々が代わる代わるに料理を運んでくださり、これ以上はお腹に入らないくらいにまでテーブルに並んでしまいした。
幸せな悩みです、本当に。
みんな苦しいとお腹をさすりながら、それでも最後のデザートを頂きました。
お店の方々も出口までお見送りしていただき、本当に楽しい祭りでした。

みんなはそれぞれ帰宅し、僕は病院に戻りました。

このお店は3年ほど前にできたとのことですが、偶然近くに往診があり、お昼を取っていませんでしたので、その帰りに飛び込んだのが最初でした。
冷たい雨が降る日のランチタイムが終わりそうな時間、僕一人だけでしたが、温かい料理で癒されました。
それからです。何かあるとこのお店に行くようになりました。

3周年記念。
おめでとうございます。

どうぶつの歯周病 ネコちゃん編

犬の歯周病のお問い合わせをいただくことが増えてきました。
ホームページの方をご覧いただいたようで、うちの子はどうですか?と聞かれます。
→日本橋動物病院へのリンク

慢性的なヨダレと歯肉炎で辛い思いをしていたネコちゃんが来院しました。
高齢のネコちゃんですが、痩せていて脱水もあります。
食餌を食べたそうにするのだそうですが、少し食べると口の中が痛くて食べるのを止めてしまいます。

ネコちゃんにある程度長期間安全に使える痛み止めがあります。
ハチミツ味のシロップです。
これを使うことも考えましたが、飼い主さんとご相談して根本的に治療することにしましたよ。

しっかりと治すには全身麻酔をして口腔処置が必要です。
まずは全身状態を内科的検診をしました。
皮膚の状態もよくありません。
血液検査をしました。
麻酔を使う処置の前には必ず行いますが、これでは異常はありませんでした。
全身麻酔をかけて、痛んでいる歯を治療します。
歯根まで痛んでいる場合には抜歯が必要でした。
歯石をきれいに取って、ポリッシング(歯磨き)を1本ずつします。
奥歯には歯の根っこが2本だったり3本だったりする歯があります。
これをすんなり抜くことはできませんので、歯を分割して丁寧に抜きます。

それから2週間後。
これまで1年以上悩んでいらしたヨダレがほとんど気にならないくらいに治りました。
食餌もこれまで以上に食べるのだそうです。

通常はできるだけ歯科処置の後は歯磨きをしっかりと続けていただくのが良い維持の方法です。
多くの方がどうぶつの歯磨きは難しいと悩んでいいらっしゃいます。
歯磨きの方法をお話しできますので、ご希望の場合には診察の中でご相談ください。

このネコちゃんの場合、高齢で歯があまりないことと、おとなしいネコちゃんですので、歯磨きは比較的簡単です。

できるだけこのよい状態が続きますように。cat
そして、もっともっと太りますように。happy01

朝の日差しに包まれて

具合の良くないネコちゃんを連れて来られたお父さんがありました。

以前ほど食べなくなったようで、お父さんのお見立てでは口の中が痛いのではないかということでした。
口の中を見てみますと、歯肉炎はわずかしか見られません。その他身体検査をしても外からわかるのは脱水があるということ、以前よりも少し痩せてきたのだろうと思われる皮膚のたるみがありました。

外観だけでは評価しきれませんでしたので、検査をすることにしました。
血液と尿検査をしました。
その結果、腎臓の働きがよくないことがわかりました。
しかしながら、この腎臓の変化は一時的なものではなさそうです。
年齢的に起こる、治すことのできない腎不全です。

おそらくはヒトでは人工透析やあるいは腎臓移植が選択されるのでしょう。
しかしネコちゃんの場合は人工透析は急性腎不全では適応でも、慢性腎不全では適応とはなりません。
また、腎移植には多くの問題もあります。

点滴をして十分に脱水を補正します。
わずかな炎症でも、歯肉炎の痛みを和らげる薬も使いました。

点滴はこれからずっと続くのですが、その量や回数は毎回評価をして決めることになります。
少なくとも週に1度は必要ですし、毎日必要になることもあります。

数回目の通院でお父さんがネコちゃんを連れて診察室に入られるときのことです。
あれっ?お父さん、かなりしっかりとした体されているなぁと感じました。
よく見ますと、肩幅が広く何か運動をしていらっしゃるのだろうとすぐにわかるくらいです。
ネコちゃんの治療とは全く関係のないことなのですが、「何か運動されているのですか?」
とお尋ねしてみました。
毎朝ラジオ体操を。
定年から10年以上も続けていらっしゃるそうです。
欠かしたことはありません。
朝早くから、大勢で集まってやっていますよ。
笑顔でいろいろとい教えていただきました。
年寄りは元気です!と。

それからは来られるたびにいろいろなお話を伺いました。
早起きは大切。
最近は本当にそう思います。


しばらくすると、ネコちゃんは全く食べることができなくなりました。

腎不全の末期症状がみられるようになりました。
お父さんは覚悟を決めていらして、できるだけのことをして欲しいから、最後は病院で。
ということになりました。

あ預かりをして、入院治療がはじまりました。
少しでも楽に。
とても心配されていますが、避けられないこともあります。
十分にご理解をされ、十分にご相談をし、最後をどのように迎えるかをお決めになりました。


ある日の夕方にそっと息を引き取りました。

休診日だったので、その日は朝からずっとネコちゃんのそばにいました。
ネコちゃんが入院中、お父さんとは毎日お電話で様子をお話ししました。
朝から体調がよくありませんでしたので、3時間おきくらいにお電話で様態をご連絡しました。
お父さんも、そしてお母さんも、明日までは厳しいだろうと思っていらっしゃいました。


お父さんはワンコを飼われています。
かかりつけで診せていただいております。
また楽しいお話を聞かせていただけることがありそうです。


今日もよい天気です。
朝日に包まれ、ラジオ体操をされたのでしょう。
明日も、明後日も。

おもらし急患 - 副腎皮質機能亢進症 -

昨晩のことです。
2回もおもらしをした。とのことで、夜中に診察をご希望される方がありました。
寝ていておもらしをしてしまったようです。
まだ若いワンちゃんです。
今日もすごく元気で、食欲もあるとのお話です。
ほとんどそそうをしないのに、2回もおもらしをしてしまったので、飼い主さんは大変に心配されています。深夜ですが、とても明日までは待てない様子でした。

おもらし(尿失禁)。
はたして病気なのかどうか。

身体検査、血液検査、レントゲンの検査、超音波検査をしました。
すると、いくつか異常がみられました。
・血液検査で肝臓に関係する数値が一つだけかなり高いこと
・レントゲン検査で肝臓が大きいこと
・超音波検査では膀胱内の異常はありませんでしたが、2回もおもらしをした直後なのに尿がやや多めにあること

ある病気が疑われます。
副腎皮質機能亢進症というものです。
まだ仮の診断の段階ですけど。

この病気の特徴はとにかく水を多く飲むことです。
そして多くの排尿がみられます。
お腹の中に2個ある副腎という臓器から、ホルモンがたくさん出過ぎてしまう病気です。
いわゆるステロイドホルモンです。
(ちなみに、ステロイドホルモンは本来体の中で作られる物です。)
そうすると、肝臓は大きくなり、超音波検査では全体的に白っぽく見えます。

おそらくは副腎皮質機能亢進症という病気のために、肝臓が腫れ、血液中の酵素が上がり、お水を多く飲み、その分おもらしが多くなったと考えられます。
お水ことは何もお話されませんでしたが、お尋ねすると、そうそう!よく飲む。とのことでした。

今日はさらに詳細な検査です。
この病気の検査のためによく使われる方法ですが、ACTH刺激試験という検査です。
それと昨夜詳しくみることができなかった副腎を含めた腹部超音波検査です。

結果が出てこの病気だと確定したら治療が始まります。
手術も一つですが、多くの場合この病気は薬を使います。

まだ結果が出ていませんし、病気だとわかり、飼い主さんは不安そうです。
しかしワンちゃんはとても元気そう。

たかがおもらし ではなかった夜中の急患さんでした。

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