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朝の日差しに包まれて

具合の良くないネコちゃんを連れて来られたお父さんがありました。

以前ほど食べなくなったようで、お父さんのお見立てでは口の中が痛いのではないかということでした。
口の中を見てみますと、歯肉炎はわずかしか見られません。その他身体検査をしても外からわかるのは脱水があるということ、以前よりも少し痩せてきたのだろうと思われる皮膚のたるみがありました。

外観だけでは評価しきれませんでしたので、検査をすることにしました。
血液と尿検査をしました。
その結果、腎臓の働きがよくないことがわかりました。
しかしながら、この腎臓の変化は一時的なものではなさそうです。
年齢的に起こる、治すことのできない腎不全です。

おそらくはヒトでは人工透析やあるいは腎臓移植が選択されるのでしょう。
しかしネコちゃんの場合は人工透析は急性腎不全では適応でも、慢性腎不全では適応とはなりません。
また、腎移植には多くの問題もあります。

点滴をして十分に脱水を補正します。
わずかな炎症でも、歯肉炎の痛みを和らげる薬も使いました。

点滴はこれからずっと続くのですが、その量や回数は毎回評価をして決めることになります。
少なくとも週に1度は必要ですし、毎日必要になることもあります。

数回目の通院でお父さんがネコちゃんを連れて診察室に入られるときのことです。
あれっ?お父さん、かなりしっかりとした体されているなぁと感じました。
よく見ますと、肩幅が広く何か運動をしていらっしゃるのだろうとすぐにわかるくらいです。
ネコちゃんの治療とは全く関係のないことなのですが、「何か運動されているのですか?」
とお尋ねしてみました。
毎朝ラジオ体操を。
定年から10年以上も続けていらっしゃるそうです。
欠かしたことはありません。
朝早くから、大勢で集まってやっていますよ。
笑顔でいろいろとい教えていただきました。
年寄りは元気です!と。

それからは来られるたびにいろいろなお話を伺いました。
早起きは大切。
最近は本当にそう思います。


しばらくすると、ネコちゃんは全く食べることができなくなりました。

腎不全の末期症状がみられるようになりました。
お父さんは覚悟を決めていらして、できるだけのことをして欲しいから、最後は病院で。
ということになりました。

あ預かりをして、入院治療がはじまりました。
少しでも楽に。
とても心配されていますが、避けられないこともあります。
十分にご理解をされ、十分にご相談をし、最後をどのように迎えるかをお決めになりました。


ある日の夕方にそっと息を引き取りました。

休診日だったので、その日は朝からずっとネコちゃんのそばにいました。
ネコちゃんが入院中、お父さんとは毎日お電話で様子をお話ししました。
朝から体調がよくありませんでしたので、3時間おきくらいにお電話で様態をご連絡しました。
お父さんも、そしてお母さんも、明日までは厳しいだろうと思っていらっしゃいました。


お父さんはワンコを飼われています。
かかりつけで診せていただいております。
また楽しいお話を聞かせていただけることがありそうです。


今日もよい天気です。
朝日に包まれ、ラジオ体操をされたのでしょう。
明日も、明後日も。

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