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2010年12月

股関節脱臼

後ろ足を上げている。
そういうワンちゃんが来院しました。
とてもかわいい小型犬です。dog

このような場合に最も疑わしいのは膝蓋骨脱臼と言われるものです。
いわゆる膝のお皿が脱臼してしまうものです。
たしかに触診では膝のお皿の収まりもゆるめなのですが、どうもそれだけではなさそうです。
レントゲンを撮り、すぐにわかったことは股関節脱臼でした。

股関節脱臼は統計的には多いとされますが、あまりみるものではありません。
飼い主さんにいろいろとご説明をして、まずは単純にはずれてしまった間接を元に戻すことを試みました。
全身麻酔をした後で後ろ足を引っ張りながら回転させます。
脱臼した股関節の様子と戻し方を考えていなければ闇雲にやって戻るものではありませんので、しばしレントゲン画像とにらめっこです。

麻酔処置を行い、ゆっくりと整復します。
ほとんど時間もかからずに治すことができました。
すぐにレントゲン検査をして脱臼がないことを確認しました。
吸入麻酔を止めて酸素をゆっくりと流しながら覚めるまで待ちました。

治療前は完全に上げていた後ろ足でしたが、治療後はそっと着いて歩いています。
また脱臼が起こることもありますし手術が必要なこともあります。

1日経ったお昼でも調子は良さそうです。

まだ若い子。
これから楽しいことがたくさんあるでしょう。
どうにか再脱臼が起こりませんように。

決してあきらめず

街の中はすっかりクリスマス一色ですね。xmas
イルミネーション、クリスマスツリー、リース、そして音楽も♪


昨日夜の外来が終了してから手術をしました。
検査入院したワンちゃんに手術を必要とする異常が見つかったからです。
それはまるでドラマのような出来事でした。

「オシッコをしたそうにするけど出ない。ずっと立ったままで座らない。そして食欲がない。」

そういうお話でした。血液検査をしますと、いろいろと異常値が並んでいます。
レントゲンでは大きな異常はありませんでした。
肝臓の病気、腎臓の病気、糖尿病の疑い、血中ミネラルの異常。
まだまだ若いワンちゃんです。
こんなに異常値が並ぶことはめずらしいことです。
しかも、この子は外観からはほとんど普通です。
元気がなさそうでもなければ、当然ながらぐったりもしていません。
むしろ走り出しそうなくらいの勢いがあります。

異常値がかなり広範囲にありますので、どこから手をす付ければよいか計画を立てる必要があります。
普段でしたら異常値と症状から進むべき道が見えてもよいのですが、今回はそう単純ではありませんでした。

腹部超音波検査をしていたときのことです。
尿がたまっていてもおかしくない膀胱が異常に小さくみえました。
確かに腎臓の働きが悪いので、尿が作られていないことも考えられます。
そして腹水が見られます。
通常であれば腹水を抜いて検査をするところです。

まずはわずかにある尿の検査をしようとカテーテルと呼ばれる小さな管を膀胱に入れてゆっくりと尿を採取しました。
そこで大きな異常が発見されます。
わずかにしかないはずの尿(のようなもの)が大量に抜けました。
腹部超音波の検査結果と異なります。
もしかして・・、再度超音波をお腹にあてますと腹水がすっかりなくなっていました。

膀胱に入れたカテーテルから腹水が抜けてしまったのです。
これは膀胱が破けていることを意味しますし、腹水が抜けるほどですから、かなり大きな穴が開いていることを意味します。膀胱にあいたものが小さな穴でしたら決して大量の腹水は抜けないでしょうから。

物言わないどうぶつ。
飼い主さんも把握していない出来事があったはずです。
このようなことから、どうぶつのは場合はどうしても多くの検査が必要になります。
もしこの子に腹部超音波検査をしていなかったら、腹水の処理や病気に対するアプローチを計画的に進めていなかったら、間違いなく今の状況はありません。

飼い主さんに詳細を説明をして、膀胱の縫合をすることになりました。
開腹したらその他まだわからない異常も調べる必要があります。

膀胱破裂の手術は難易度の低い手術です。
交通事故です!とか、高いところから落下しました!とか、多くはそのような状態で来られますので、膀胱破裂を調べることは優先順位としてはかなり高いものです。
「今回はオシッコをしようとするけど出ない。」ですので、はじめに膀胱破裂を疑うことは自然ではありません。

麻酔をかけますと、通常の体重量の半分以下で効いてしまいました。
これは動物がかなり弱っていることを意味します。
確かに元気そうに見えますが血液検査ではいろいろな数値が異常値でしたから事前に想定できることでした。

お腹の中にはまだ少し残っている腹水があり、そして小さく萎縮して一部壊死している膀胱があります。小型のワンちゃんですので、その大きさはやや小さめのサクランボくらいです。
壊死しているところを慎重に切り取り、出血をコントロールしてから縫合します。膀胱にはいくつかの縫合方法がありますが、今回は普通とはかなり異なる状態ですので、取れる方法は限られていました。

途中心拍数がかなり少なくなり、止まりそうに何度もなりました。
幸いにしてここまで手術中、その直後に手術や麻酔が原因で無くなった子はいません。
しかしながら、今回はそれも覚悟しました。
上手に麻酔をコントロールしてくれた看護士、そして手術時間を短時間にできるようにアシストしてくれた看護士、ともに夜の遅くまで本当によく頑張ってくれました。
恵まれたスタッフのもとで安心して手術に集中できました。

その後は、

すでに今日(翌日)から食事をとれるようになりました。
手術前後を通じて、本当に強靱な体力を持っていると感心します。
まだ膀胱がどれくらいしっかりと回復するかは慎重に見守る必要がありますが、まずは一安心です。

まだまだ若いワンちゃんですから、もっともっと多くの思い出が必要です。
大変に動揺があったと思われますが、飼い主さんは終始冷静でした。
覚悟もおありだったと思いますが、望みを捨てず、決してあきらめずにお任せいただきました。
それにしっかりとお応えできたかはまだ結果がでませんが、今日の様子からは大丈夫だろうと思っています。

意外と退院も早いかも知れません。
今日は僕も少しは休めそうです。confident

眼窩下膿瘍

年末年始のお休みは12月31日から1月3日までです。
12月30日、1月4日は通常どおり朝9時からの診療受付です。

今日と明日は雨のようですね。
それまできれいな青空が気持ちよかったのですが、一気に冬を感じさせる日になりました。
そして水天宮前には年末年始恒例の提灯が並びましたよ。


最近長期にお薬を飲んでいる子達に麻酔をかけて処置をすることがありました。
長期にわたりお薬が必要な子は、それだけ体調が変化しやすく、全身麻酔のリスクは高めだと考えます。
特別に慎重な麻酔管理が求められます。

1匹目のワンちゃんは鼻の横に小さなかさぶたがある子です。
ただのケガのように見えていましたが、レントゲンで調べてみますと歯の根っこに化膿がみられました。
眼窩下膿瘍と呼ばれるものがありますが、この子の場合は少し様子が違いました。
通常眼窩下膿瘍と呼ばれるものはほっぺたの目の下あたりに小さなかさぶたができます。そしてこれは第四前臼歯と呼ばれる奥歯の大きな歯の根っこに起こる化膿が原因のことがほとんどです。
しかしこの子の場合は原因は犬歯でした。
犬歯がすり減っていて、歯の髄が見えていました。
露髄とよばれるものです。
特にダックスちゃんやコーギーちゃんに多いのですが、物をガリガリと噛む子には歯が欠けたりすり減ったりすることがあります。
この子もそのようでした。
永久歯ですから簡単には抜けません。
歯肉にフラップとよばれる切開を行います。そして歯の根本にある歯槽骨とよばれる薄い骨をラウンドバーと呼ばれる小さなドリルで削ります。さらにエレベーター、抜歯鉗子という道具を使って抜歯をします。歯があった穴をきれいにして薬を注入し、切開した歯肉を細い糸で縫います。
口腔処置を行う場合は他の歯の歯石もきれいに取り除きます。
ポリッシングをして1本1本磨きます。

ほっぺたにできた小さなかさぶたですが、こうしなければまず治りません。
原因が歯にあると考えずに様子を見ましょうとなれば、おそらくは治ることはないでしょう。
はじめに治療方法の説明をしたときは飼い主さんは不思議そうにお話を聞いて下さっていました。
なぜ歯を抜けば治るのですか?当然の質問ですよね。ほっぺたのかさぶたの相談に来られたのですから。

治療をしてから2週間が経ちました。
すっかりとよくなっていました。
もとのかっこいい顔に戻っていましたよ。

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