« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »

2012年3月

看護士の研修

雨になりました。rain
週末にかけて雨が続きそうですね。
早めに雨が上がるとよいのですが。


僕がアメリカから帰って間もない頃に、うちの看護士が研修でアメリカに旅立ちました。
ちょうど僕が膝の手術のワークショップで行ったラスベガスのセンターが彼女の研修場所です。
おおよそ1週間ほどの研修。
日本人グループで行きましたので、関東の動物病院からの参加者の方々とお知り合いになれたようでした。

帰国するといろいろと現地でのお話を聞かせてくれました。
目新しいものや、実際の犬を使ってのトレーニングもあったようで、アメリカまで行ってよかったと充実した時間を楽しんだようでした。

日常の獣医師業務、看護士業務、現状のままでもよいところが多くありますが、やはりよりよいものを皆様にご提供するには新しい情報を仕入れ、そして必要なトレーニングを受けることが欠かせません。
例え海外であっても、積極的に出て行って研修を受けて欲しいと思っています。

お疲れ様でした。
お仕事はここからですよ。happy01


2012032201

センター名の入った研修の修了証です。


2012032202_2


ある命のお話

突然にトイレでうずくまる。
そう言って連れて来られたのがかわいらしい13歳のシーズーの男の子です。
いろいろと調べてみますと膀胱に穴があいていて、とても具合が悪そうです。
飼い主さんもなぜこうなったかはご存じではありませんでした。

当日の夜遅くに手術をはじめ、一応日付けが変わる前には手術が終わりました。
ほとんど動けないくらいに苦しがっていた子は、翌朝にはかなり元気を取り戻し、2-3日で見違えるほどに回復して帰って行きました。

それからおよそ1か月。
突然に元気がなくなったとのことで再度の診察に来られました。
確かに前回に見た元気な姿はありません。
横になってほとんど動くことができません。
食事も自分で取ることはできませんし、排泄もままならない様子でした。
飼い主さんは少しだけ明るい様子を見せてくださいましたが、とてもご心配されているのは痛いほどわかりました。

いくつかの検査をして異常なところを特定して治療を始めました。
今回特徴的だったのは血糖値がすぐに下がってしまうことです。
ブドウ糖を注射してもすぐに危険なレベルまで血糖値が下がります。

横たわり、呼びかけにもやっと応える程度です。
タオルを枕にして伏せの状態をつくってみても、すぐにごろんと横になってしまいます。
院内では急変の可能性が最も高い入院の子という認識が全員にあり、交代で様子を監視していました。

飼い主さんが面会に来られても、横になったままで呼びかけに声にならない鳴き声で応えるのがやっとでした。

このような場合、僕はできるだけ多くの鑑別診断リストを作り、多くの病名リストの中から診断に向けて検査をしますが、なかなか容易には診断にたどり着けません。
そうなりますと、まずはわかっている症状を改善することが必要です。

ブドウ糖の点滴を続けるのは簡単な方法ですが、それではこの子はお家に帰ることができません。
お家に帰っても血糖値が危険なレベルまで下がらないようにするには口から食事を与えるしかありませんでした。

この子に起きた問題の中で最も驚かされたものは、舌が全体の1/4ほどの長さを残して脱落してしまったことです。舌がポロリと取れてしまったのです。
僕は病院に何日も泊まりましたが、その中で起こりました。
舌の変化はそれまでにゆっくりと進行していっていましたから、当然ながらこうなることはある程度予想はできていました。
その日が来たのだと思ったのですが、失った舌は戻りません。

トイレを自由にできないので、細い管から排尿をします。
血糖値を保つために口から頻繁にブドウ糖や流動食を与えていましたが、舌がこのようになり、脱落して残った部分に起こった炎症も激しかったので、口からの給餌ができなくなりました。

しかし、この頃から少しずつ自分で動くようになってきました。
モゾモゾと動く程度ですが。

飼い主さんには厳しい状況を説明せざるを得ませんでした。
度々ご面会に来られますので、飼い主さんもご自身の目でその変化を確認されていました。

もしかして、このまま。
そう誰もが一度は考えたと思います。

そこで次の手段は皮膚から胃に管を通し、その管から食事を与える方法です。
内視鏡を使いますと、だいたい10分程度で管を設置することができます。
全身麻酔が必要でしたが、すぐに管を取り付け、その日から管を使った給餌が始まりました。

口から入れるのと違い、結構な量を一度に与えることができるようになりました。
その他注射で入れていた薬の効果もみられはじめました。

飼い主さんがある日ご面会に来られますと、伏せることができるようになっていました。
こんなことができるようになったのー。
飼い主さんはその姿がとても嬉しそうでした。
まだ横になったままかと思ったよ。とも。

それから治療と給餌が続き、僕も夜の診療が終わるとそのままこの子の治療のために朝まで院内で過ごすことが多くなりました。

排尿も食事も管を使い、舌が脱落し、自ら動くことができない。
でも、希望を持って。

胃のチューブから給餌をはじめて1週間も経たない頃。
立ちました。
自分で。
歩くことはできませんが、立ったまま少しだけ静止することができました。

その翌日。
ヨタヨタと歩き始めました。

飼い主さんはとても驚き、とても喜んでいらっしゃいました。
僕たちも飼い主さんが嬉しい笑顔でいらっしゃることがとても幸せでした。

やっと退院の日を迎えました。
横になったまま排泄し食事を与えるだけと予想されていましたが、もう自分で歩けますし、トイレにも自分でいって排泄できるようになりました。

獣医師である僕が言うのはとてもおかしなことなのですが、奇跡的なできごとのような気がします。
スタッフも飼い主さんもとても頑張りました。もちろん、一番はこの子です。

まだ退院から数日ですが、本日診察にみえました。
もう元気で仕方がないの。
お友達のお家に連れて行ったら胃からチューブでているのに、ずっとトットコトットコ歩き続けて、困っちゃうのよ。
もちろん、満面の笑みです。

受付でお待ちの間に、他の飼い主さんにもその奇跡のお話をされていました。

消えかけた命の炎は今一段と大きく輝いています。
まだまだ楽しい思いをしようね。

20120319

自分で立って歩けるようになったよ!

椎間板ヘルニア -椎体固定手術-

ここ数日、天気の良い日が続きますね。

おかげでチューリップが咲きましたよ。
20120213

まだつぼみもあります。
もう少し楽しませてくれそうです。


今回かなり専門的な話です。

アメリカの神経外科などの研修から帰って3週間近くになります。
帰国2日目にまさに神経外科の手術が入りました。
ダックスちゃんの椎間板ヘルニアです。

実はこのダックスちゃん、以前にも違うところでしたが、椎間板ヘルニアを起こしてしまいまして、手術をしました。今回は前の手術よりも少し上側です。
椎間板ヘルニアは椎間板が飛び出して神経にさわるために痛みがでます。飛び出し方は偏りがありまして、右側から飛び出したり、左側から飛び出したりします。
右側から飛び出した椎間板を取り除くには背骨の右側に穴を開ける手術を行いますし、左側なら背骨の左側に穴を開けます。

以前は左側に飛び出していましたから、背骨の左側に穴を開けて手術を行い、手術後おおよそ3週間目から普通に歩けるようになり、最終的には走ったり飛んだりと、これまでと何も変わらない生活ができていました。

今回は前回よりも上のところで右側に飛び出しています。

飼い主さんはとてもお忙しい方です。
遠くにお住まいですので、来院回数を多くすることができません。
来院時には後ろ足の麻痺が起こって1-2日経っていました。
それでも急を要するものです。
以前のご体験がおありですので、夜の時間外の来院でしたが、このままお預けしますとのことでした。

入院管理が始まり、通常は飼い主さんに行っていただくMRIの検査も当院の獣医師が検査センターに行くことになりました。
手術を行う場合にはMRI検査は欠かせません。画像を見て手術の方針を立てます。
そこでわかったことが前回は左側、そして今回は右側ということですが、一部前回に近いところまで背骨に穴を開けなければならなそうです。

かなり専門的な話ですが、片側椎弓切除術を両側に行いますので、両側椎弓切除術という手術を行うことになりました。そうなりますと、背骨の強度が弱くなります。弱くなりすぎてよくないことが起きることはどうしても避けたいところです。

そこで、おそらくはこの手術を専門医として数多く行っているアメリカのカール先生にメールで質問をしてみました。
両側椎弓切除を行った場合の背骨の不安定性について。
これまで多くの犬でその手技を行ってきたけれども、問題が起こったことはない。との返事でした。
しかしながら、開ける穴の大きさによってはプレートをスクリューを使った固定手術が安全策ではないかとのことでした。

不安を残すことを避けたかったので、両側椎弓切除手術と椎体固定手術を行うことにしました。
SOPというプレートを使った背骨の固定手術です。
きっちりと大小の神経をよけてスクリューを背骨に挿入します。

1週間ほどの入院後の時点ではまだ後ろ足は麻痺でフラフラしていました。
しかし昨日の抜糸の時にはかなり力強く足が使えていました。
まだ自然に歩くことまではできませんが、かなり期待が持てそうな回復です。
飼い主さんの笑顔がとても印象的です。
前の手術のときよりも治るのが早いと思いますとの感想でした。

数年ほど前までを振り返りますと、ここまで高度な手術はもっと大きな病院をご紹介していたかも知れません。当院をご利用の方々には、できるだけ当院の中で十分な治療をさせていただければと考えております。

海外研修4日目 -最終日-

昨日の夜11時にホテルに入り、朝の5時30分には起床し、6時20分ごろにはチェックアウトしました。
1週間旅行用のスーツケースを持ったままワークショップ会場に行かなければなりません。

その前に、泊まっているホテルとは違うホテルで獣医師登録をしなければなりません。
その登録会場のホテルまでタクシーで向かおうかとロビーまで来ますと、カンファレンスに参加する人が乗れるバスが正面入り口に止まっていました。運転手さんに聞きますと、登録会場までいくのかを聞きますと、次はそこに行くとのこと。すぐに乗り込みました。

登録会場はとても広いホテルの中です。
案内を見ながら行ったのですが、海外からの参加者のための受付が見つかりません。
聞いてみると、近いから案内しますと申し出てくれたのが大学生くらいの男性。
「ワタシハ ニホンゴヲ ベンキョウ シテイマス」と言ってくれました。
上手ですねって言うと、少し照れたようす。
日本語を勉強している人がいると少し安心します。
興味を持ってくれている人がいるんですね。

海外からの参加者の受付を済ませ、やっとワークショップ会場です。
オクエンド センターというところです。
→オクエンド センターへのリンク

この会場のロビーで少し待つように言われ、コーヒーを飲んだりちょっとしたお菓子をいただきました。
ちょっと思ったのですが、今回のアメリカ研修ではどこに行ってもいつもお菓子を食べる事ができたり、コーヒーを飲む事ができたりします。お菓子はチョコレートバーのようなものや、小袋のスナックだったり。嬉しい限りですが、体重管理が大切になりますね。

ほどなくして会場が2階ですよと案内があり、また重いスーツケースを持って階段をあがり一番前の席を陣取りました。

講義があり、デモンストレーションがあり、そして実践です。
はじめは作り物の骨を使って実習し、その後は実際の犬での手術です。
膝を悪くした犬の手術を行いました。

講師のブラウン先生は親日の方のようで、日本語で書かれた名刺をいただきました。
TPLOという手術では有名な方のようです。


僕はこのワークショップが終わる4時30分になったらできるだけすぐに空港に向かわなければならないために、昼休みに受付の方に時間になったらタクシーを呼んでおいて欲しいとお願いをし、午後のワークショップに望みました。
参加者の一人にどこから来たの?と聞かれ、日本ですと言うと、また遠いところから来ましたね。僕は3時間車を運転してロサンゼルスから来ましたよ。なんて言われ、他の参加者も私はハワイからとか。ここでも日本人は僕一人でした。

ディレクターのブラウン先生に、終了間近にあと1時間ほどしか時間がない事を伝えますと、僕の順番を早くしてくれました。
順番とは、手術をした犬の足のレントゲン写真を撮り、それを評価する検討会の順番です。

検討会では彼の飛行機の時間が迫っているから順番を早めますとみなさんに伝えてくださいまして、早速コメントをいただきました。
もちろん課題もありますが、仕上がりによい評価をいただきました。

終了予定時間の4時30分を過ぎても終わる気配がなく、僕に取ってギリギリの時間である4時40分になってもまだ半分の方の検討会が続いています。
ブラウン先生に、申し訳ないですと挨拶をして退出しました。

受付ではタクシーが来てますよと声をかけていただき、すぐに飛び乗って空港まで行ってもらいました。どこの航空会社?国内線?国際線?などと聞かれ、まずは国内線ターミナルまで連れて行っていただきました。

昨日の夜に来たばかりのスロットマシンが並ぶラスベガスの空港です。
そこからまずはロサンゼルスに向かいます。

ロサンゼルスでしばし時間があり、ちょっと食事をしたり、チョコレートを買ってみたりconfident
して長いような短いような研修が終わりました。

帰りは羽田に到着。
やっぱり便利ですね。
羽田から日本橋はバスで30分以内。

本当に手応えのある研修でした。

海外研修3.5日目 -移動-

アイオワ大学での研修が終わるとすぐにネバダ州ラスベガスに向かわなければなりません。
ほとんどの皆さんはその日はアイオワに残り、観光や休養をされてから帰路につかれるようでした。

カール先生にホテルまで送っていただき、朝のチェックアウトの時にフロントに預けておいたスーツケースを受け取り、ロビーで空港までのシャトルバスを待ちました。

疲労がありましたので、シャトルバスの中では空港までのおよそ1時間寝る予定でした。
しかし、シャトルバスに乗るのは僕一人のようですし、シャトルバスと言っても、4-5人乗りのワゴンです。さらには運転手さんがずっと話しかけてこられます。coldsweats01
結局一睡もできませんでした。

バスの中では、いろいろな話をしました。
アイオワは初めてなの?とか、トウモロコシと大豆がよく採れるんだよ。とか、昔は牛がよく飼われていたけど、今は豚が多いんだよ。とか。
僕がアイオワ州立大学の獣医学部でワークショップに参加したとの話をすると、親戚に医師がいて、と、言っても病院勤務ではなく研究職でアイオワ州立大学で動物の研究をしていたから獣医学部にもいたことがあるとか。
8年前に腎臓移植をして今はバスの運転手をしているけど、前の仕事をリタイヤしたのだとか。
街の紹介をしてくださるときには、前の市長は大学の学長さんだった人で、かなり長い間市長をやったのだとか、次の大統領は支持はしていなけど、オバマさんだろうとか。
あそこのゴルフコースは仕事を定年退職した人たちが多くプレイしているとか、この墓地は広いんだよとか。

最後には楽しく会話できてよかったよ。
と言って空港でお別れしました。

飛行機の中で寝ることにしました。confident

この日はまずデモインという空港からシカゴへ向い、シカゴからラスベガス空港に向かいます。
デモインからシカゴまでは行きと同じ小さな飛行機です。

シカゴの空港も数日ぶりです。
マクドナルドとスターバックスが目立つフロアで待つ事にしました。

そして飛行時間は4時間と少し。
アメリカの国内線なのに、シカゴとラスベガスでは時差が2時間です。
ラスベガスの空港で驚いたことは到着ロビーにもスロットマシンがあるんですね。happy01

スーツケースを受け取り、タクシー乗り場に着いたのは夜中の11時近くです。
それでもタクシーを待つ人たちがこれこそ長蛇の列を作っています。
吐く息が白くなるほど寒い中、順番を待ちました。

泊まるホテルを告げていわゆるイエローキャブに乗りまして、ほどなくホテルに到着。
小さなカジノがあるホテルでした。

受付を済ませ、すぐに就寝です。
また明日も5時30分に起きなければなりません。
そして一日中今度は膝の関節の手術を行います。
そして明日中に帰国です。

海外研修3日目

前日、カール先生の自宅でのワインパーティーの帰り際に、先生に明日最終日もほてるに迎えに来ていただけるかを尋ねると、いつもより少し遅いけどOKとのこと。最終日まで甘えてしまいました。
そして僕はこの3日目を終えるとすぐに次の研究場所に向かう事になっています。

最終日、お決まりのベーグルで朝食をとり、みんなといくらか打ち解けていましたので、朝のあいさつなどをしたら早速手術です。

今日はこれまでの成果を確かめるような手術が行われます。
昨日と同様にデモンストレーションがあり、手術に取りかかりました。
手術器械を配ってくれるスタッフや、ドリルなどを用意してくれたり、またまた多くのスタッフに支えられ、一つずつ手術を行っていきます。

昨日はまだ遠くまできてよかったと実感できるようなものではありませんでしたが、今日ははっきりとそう思いました。
昨日不確かだったところがかなりクリアになっていきました。

前日の手術でも、今日の手術でも行わないなかに、とても気になる手術が方法がありましたので、質問をしていろいろな話を聞かせてもらいました。
昨日はまだ感じなかった、実感をつかめた気がします。

ランチタイム。
カール先生がみんないつ帰るの?と聞いてくれまして、僕がその日のうちにアイオワを離れる事は伝えてありましたので、空港まで送って行こうかと言ってくださいました。
40分かかるけど、何も問題はないよ。
しかしながら帰りのシャトルバスはもう頼んであります。
もしできたらホテルまで送ってほしいとお願いし、午後の仕上げの手術がはじまりました。

ブラッシュアップと言われる、総復習を行い、仕上げを確認し、短い3日間の研修が終了しました。

さてここからまた移動が大変です。
ホテルまでカール先生に送っていただき、そこからシャトルバスでデモインという小さな空港まで行き、そこから国内線でラスベガスまで行きます。さらにはタクシーでホテルまで。
それがこの日の旅程です。

この移動のいろいろな出来事はまた記すことにします。
中身のたくさん詰まったアイオワ州立大学での研修が終わりました。

« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »

2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

iTune