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内緒のご報告

昨晩は風があって涼しい夜でしたね。まだまだ日中は夏の日差しですけどね。
風に吹かれながらいろいろと考えたり、日々の反省やこれからの希望や。
久しぶりに清洲橋の上で大切な時間でした。


夜に1本のお電話をいただきました。
「内緒のご報告」でした。

椎間板ヘルニアの手術をした子がいます。
はじめて会った時は後ろ足が麻痺して歩けないでいました。

通常は状態を見ながら早急に手術すべきだった子でしたが、通われていたかかりつけの動物病院は手術を行わないところで、うちにご相談にいらっしゃいました。
症状がみられてから来院されるまでにおおよそ1か月ほどかかっていました。
その間はかかりつけの動物病院でお薬をつかった治療を継続中ではありましたが、期待する改善が見られませんでした。

来院後、すぐにMRIの検査を予約し、さらに次の日には手術を行いました。
この手術は症状が見られてから手術までが早い方が成績が良いものなのですが、今回は日にちが経っています。しかしながら、飼主さんは針治療もお考えでしたから、それをされるならまずは手術をするのがよいというお話になりました。


手術は無事に終わりましたが、麻痺は相変わらず残っていました。
前足で動く事はできますが、後ろ足はだらりとのびています。
しかしながら健気な目をして食欲も旺盛です。
立ち上がる事ができたらいいのに。

入院中もその足は動きませんでした。

退院の日を迎えて、しばらくは定期的な診察を受けに来院していただいています。
ある時から静止したまま立つことができるようになりました。
数秒のほんの少しの間だけです。
よろっとしてお尻を床についてしまいます。
飼主さんには理学療法の方法をお話しして、ご自宅でリハビリをしていただいておりました。

そのような中、「内緒のご報告」をいただく事になります。

それは「少しですが、歩けるんです!!」
そのようなお電話でした。

なぜ内緒かといいますと。

歩けた!!とお父さんともに喜ばれたのだそうです。
先生に報告する。そのようにお母さんが言われますと、まだしっかりと歩けた訳ではないのだから言わない方がいいと止められたのだそうです。
しかしながら、ご報告をしたかったお母さんは、お父さんとワンちゃんがお散歩に行かれている時にこっそりと「内緒のご報告」をくださいました。

僕が察しますに、やはりちょっと立てたとは思うのですが、わずかな時間だったのではないかと言う事です。もしかすると数秒だけかも知れません。

しかしながら、嬉しかったのは、お母さんがとても明るい声でお電話をくださったことです。

このまま生涯歩けないかもしれないと重い表情で辛い時期を過ごして来られました。
消極的なことばかりが頭に過り、前向きなことを考える事がとても難しかった時期がありました。
そのお母さんがとても明るい声でお電話をくださったことは、それだけでとても嬉しくなりました。

このまま普通に歩く事はできないかもしれない。
けれども、それでもいいんです。
そのようなこともお話くださいました。

きっとわずかな改善点。
それでもこれほど喜んでいらっしゃる。
きっと、ワンちゃんは苦しい表情のお母さんよりも、こんなに明るいお母さんと一緒にいた方が元気が出ると思います。

また診察に伺いますね。
まるで嬉しい発表を心待ちにする、そのような気持ちになりました。
どれくらい歩けるだろうか。
あまり期待せずに次の来院日を待ちます。
きっと現状よりもお母さんの嬉しさが先行していることはなんとなく感じていますから。
それでもいいんです。
みんなが最善を尽くしたと思います。
あとはゆっくりと時間をかけて。

内緒のご報告はこれまでに2回いただきました。
次の診察が本当に楽しみです。

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