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2012年12月

年を越して -抗癌治療-

今年も残すところあと3日ですね。

水天宮の近くでは、お正月飾りなどの露店が増えてきました。
賑わっていますね。

12月31日と元日はたった1日の違いですけど、一つの区切りとして、年が変わったという新しい気持ちになります。

病状からみてこの年越しがもしかしたら難しいかも知れないと思えた子が、大変に調子よく新しい年を迎えることができそうで、スタッフ全員がホッとすることがありました。

年の後半から治療が難しいガンが見つかった子がいます。
この子は近くのお友達のお家で産まれた子。
兄弟も近くにいますし、近所の方々からもかわいがられる子です。
食欲がなくなり、元気もなくなり、大好きなお散歩にも出られなくなりました。
飼い主さんは突然の知らせに驚かれ、私どもも普段がとても元気な子だっただけにとても残念な思いをしました。

このガンは手術で取り除くことができないもの。
普通は抗癌治療を行います。

飼い主さんは抗癌治療についてのご説明の後、とても心配をされていました。
抗癌治療でよくなるのか、そして副作用はどうなのか。
確かに抗癌治療で完治することはほとんどありません。
ガンを小さくできたり、できるだけ快適に過ごせる時間を長くできりはできることがありますが。

できることは抗癌治療のみ。
それが現実でした。
どうぶつの抗癌治療にはいろいろな意見があります。
もしかすると、ヒトもそうかも知れません。
私が知る限りでは、ヒトのガンで抗癌治療で治るものはほんのわずかです。
しかも、そのガンにかかり、抗癌治療を行ったからといって、全員が同じよい結果を享受できるとは限りません。
副作用に苦しみ、もしかしたら生命力をもって生きているというよりも、生かされているという消極的な時間の過ごし方をしなければならないかも知れません。

抗癌治療は医師、あるいは獣医師の自己満足ではないかという意見もあります。
ほとんどはよい状態になるようにお手伝いできることはあっても、治すことはできないのだから。

飼い主さんもご心配や迷いをお持ちでしたが、僕は今回はある程度積極的にお勧めいたしました。
まだ若いこの子には体力がありますし、抗癌治療はこのワンちゃんが、あるいはご家族の方が辛い思いをするならばいつでも止めることもできるものです。

飼い主さんがどのような選択をされるのか。
お返事を待つ数日間は、もしかしたら抗癌治療は行わないという判断もあるだろうと考えておりました。

私が見るなかでは、既に食欲がなくなっていますので、抗癌治療も予定どおりのプログラムで全行程を行うことは難しいかも知れないと考えましたが、あともう一度でもこれまでの食欲でおうちのご飯を食べてくれたらという願いがありました。

飼い主さんは抗癌治療をする決断をされました。

初日。
ワンちゃんは すっかりと元気のなくなった様子で、とぼとぼと診察室に入ってきました。
血液検査を行い、点滴で抗癌剤を入れますと、すぐに寝てしまいました。
点滴が終わる頃、2回ほど吐いてしまいました。
この日は1日のうちに何回か吐いてしまい、初日の抗癌治療がこれだと続けることは難しいかも知れないという気持ちになります。

治療は基本的には毎週1回行いますが、次の週は少し元気になってやってきてくれました。
食事も取っていますよhappy01
飼い主さんのお顔も少しばかり安心されたように見えました。

2回目の治療からは吐き気も何事もなく、かなり順調にすすみました。
次第に元気を取り戻したワンちゃんは、食欲もしっかりとあり、そして体重も増えました。

今では2週間に1度だけ抗癌治療のための点滴に通われていますが、お家で何かしらのお薬を飲むこともなく、点滴の日以外は全くガンを思わせない、普通の生活がおくられています。

一時は抗癌治療の全行程を行うのは難しいかも知れないと考えることもありましたが、このまま順調によい状態が維持できそうです。
年内最後の治療が終わり、次の点滴は年が明けてから1月の中旬頃です。

年越しがこのように元気にできるとは期待を大きく超える体力があったのだと思います。

この子を見る限り、抗癌治療は獣医師の自己満足とは言い切れない、そんな気がしています。もちろん、いろいろな効き方がありますし、効果がみんなにあるわけではありません。少なくともこの子にとっても、飼い主さんにとっても、すばらしい時間になっていると思いますから、この選択は大成功だと考えています。

食欲もあって体重も増えています。
もっともっと楽しい生活が続きますように。

年末ですね

今年も残すところあと10日間ほど。

水天宮前の通りにも例年どおり提灯がつきました。

当院の年末年始は12月31日(月)から1月3日(木)までお休みをいただきます。
ご迷惑をおかけいたします。
この間も可能な限り急患対応をさせていただきます。

2か月ほど前のことです。

公園を住み家としているネコちゃんが大けがをしているとのことで相談を受けていました。一度見せて頂かないと、なかなか詳しいお話ができませんが、なかなか捕まえることが難しそうでした。

お世話をされている方が、やっとのことで捕まえて、タクシーで運んで来られました。
タクシーの運転手さんに、臭くて次にお客さんを乗せられないとの苦言を受けながら、懸命でした。
確かにネコちゃんは異臭を放っており、明らかに化膿がどこかにあるのだろうと思わせる状態でした。

屋外で生活をしているネコちゃんです。すんなりと診察を受けてくれるとは思えませんでしたし、その後の処置にも麻酔が必要と考えて、麻酔で眠ってもらうことになりました。
麻酔をかけてよく見てみますと、首の後ろから背中の広い範囲に大きな大きな、もう死んでしまっている皮膚がくっついていまして、その下には大きな化膿が広がっていました。

まずはこの化膿しているところの洗浄と、べったりとくっついている壊死した皮膚を取り除く処置を行いました。

驚くことに、これだけでネコちゃんの臭いはほとんどしなくなりました。
先程までいた診察室には、残り香が漂っていましたが、ネコちゃん自身はほぼ無臭になっていました。

さて、治療計画を立てなければなりませんが、これだけ広い範囲の皮膚が失われていますと、どこかの皮膚をもってくる皮弁(ひべん)と呼ばれる方法は困難です。
できる限り縫合して縮めても、範囲が広すぎてほとんどもとの状態を変わりません。
このような傷は乾かしてしまうといけませんから、とにかく湿った状態を保たなければなりません。
保湿が必要ですので、毎日湿ったガーゼを使った治療や、新しい組織が盛り上がってくるようにクリームを使って治療を続けなければなりません。
これを屋外で朝晩毎日行うことは不可能ですし傷にもよくありません。
入院管理で治療をすることになりました。

外ネコちゃんの入院が長期にわたることはあまり良いことではありません。
その後にお家の中で生活ができるとは限りませんし、仮にできたとしても、それがもともと外にいたネコちゃんにとって幸せかは誰にもわかりません。

このネコちゃんの治療にはかなりの日数が必要だということは確かでした。

毎日治療をするうちに、ゆっくりとではありますが、傷口が小さくなっていき、そして少しずつ人にも馴れてくれました。
やっと帰っても大丈夫というところまで回復したのは、入院から1か月半経ってからです。その間に3回傷を小さくする手術を行いました。
予防接種を済ませ、必要な血液の検査も済ませ。

とにかく良い子でした。

外ネコちゃんはなかなかお部屋をきれいに使うことができないものなのですが、この子は本当にいつもきれいにお部屋を使ってくれましたし、食事もしっかりと毎日食べていました。

大きな傷でも丁寧に処置をして時間をかけるとそれに応えてくれるかのように小さくなっていきます。
日々の変化は目に見えるものではありませんが、確実に退院の日が近づいていました。

退院の日を迎え、すっかりとよくなったネコちゃんは、しばらくお世話をする方のお家にいることになりました。

長いようで、過ぎてしまうと短かった日々です。
あのまま外にいたら、今頃はどうなっていたか。
よく見つけて連れて来て頂いたと思います。

すっかりと良くなりました。元気に新しい年を迎えるのではないでしょうか。

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