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休診日の緊急手術 -胆嚢粘液嚢腫-

梅雨らしくないと言われていましたが、最近は梅雨らしいですね。 雨の間の晴れ間が嬉しくなります。 少し前の休診日のできごとです。 日本橋の動物病院が休診日だった水曜日のことです。 午前中は世田谷の動物病院で仕事をしていました。 そこに、日本橋の動物病院で看護師から電話がありました。 「ご飯を食べないワンちゃんの飼い主さんがとても心配されています。」 世田谷の動物病院での仕事は午前中だけでしたから、日本橋に帰り着くのは・・ と時計をみながら、 2時に来院していただくことになりました。 日本橋に向かう電車の中ではいろいろなことを考えていました。 食事をとらないだけですと、軽いものから重いものまでいろいろな病気が考えられます。 よくいらっしゃる飼い主さんです。 よくわかっていますから、その方が休診日に来られるということは軽い病気ではないだろうと考えました。 これまでの既往歴や最近の様子などを考えてもすぐに思いつく病名はありません。 とりあえず診察を急がなければなりません。 お約束のお時間よりも早くに日本橋の動物病院に到着しますと、飼い主さんは既にお待ちでした。 いろいろと状況を伺いました。 やっぱり元気がありません。 いつもの感じが全くない。そんな様子でした。 検査をしましょう。 血液検査、レントゲン撮影、お腹の超音波検査。 血液検査とお腹の超音波検査で胆嚢に異常があることがわかりました。 胆嚢粘液嚢腫と呼ばれるこわい病気です。 この病気は命に関わる重いものです。 休診日でしたが、看護師と二人で緊急手術を行うことにしました。 手術の方法はいくつかありますが、胆嚢を直接みて最終的には方法を決定します。 今回はチワワちゃんの小さな胆嚢がいっぱいいっぱいに膨らんでいました。 そしてとても硬くなっていました。 通常は胆嚢の中身は少しねばっとした液体です。 しかし、今回はこんにゃくゼリーのようで、液体というよりもゲル状です。 胆嚢を切開しても全く液体が漏れ出てきません。 これは胆嚢を取り除く手術をするしか方法がなさそうです。 胆嚢は取り除いても支障がないものです。 手術そのものはそれほど難易度が高いものではありませんが、それでも多くの動物病院で行われているわけではなさそうです。高次医療施設への紹介も多い手術です。 今回はチワワちゃんということで、使える手術器具もよく使用されるものでは大きすぎたために、代わりになる小さな器具を工夫して使うことにしました。 この手術にはもともと特別な器具は使いません。大きさの問題でした。 看護師がうまく麻酔管理をしてくれるので、手術に専念できました。 少し専門的な話です。 胆嚢は袋のようなものですが、1枚の皮ではなく、内張をしている膜と外張りをしている膜があります。 外張りをしている膜は肝臓についていますから、これをはがすときに出血があります。 その出血が手術を困難にします。 今回は肝臓からの出血を避けるために、外張りをしている膜を肝臓に残す方法をとりました。 内張をしている膜と、外張りをしている膜の間をはがして最終的に胆嚢を取り除きます。 モスキート鉗子という器具と指をつかって丁寧にはがし取り、胆嚢切除といわれる手術を行いました。 数日の入院の後、このチワワちゃんはとっても元気になりました。 飼い主さんがお話しされるには以前にもまして元気だということです。 抜糸も終わり、定期検査に来られますが、飼い主さんの笑顔がチワワちゃんがどれほど元気かを物語っています。 食欲もモリモリで、ますます元気なチワワちゃん。 もっともっと長生きできそうですよ。

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