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ウサギさんの噛み合わせ -不成咬合・毛玉症-

秋の空が広がっています。
それでもまだ風が湿っていて、寒いほどではないところが行楽の秋なのでしょうか。

この時期、動物の毛は冬に向けた変化をします。
そしてこの時期に多い病気もあります。

ウサギさんはげっ歯類と並び、歯が伸び続ける動物です。
ちなみに、げっ歯類にはモルモット、チンチラ、ハムスターなどがいます。
ウサギさんはげっ歯類ではありませんが、前歯も奥歯も伸び続けます。

来院されたウサギさんは食欲がなくなったとのことでした。
お話を聞きますと、硬い物を欲しがらなくはなってきていたけど、食べない訳ではなかったとのことでした。しかし突然、帰宅すると、朝のエサがそのまま残っていて、なんだか元気がなくなっているとのことでした。そして糞もしていない。
飼主さんはいろいろとウサギさんの病気の勉強をされていて、またインターネットでいろいろと調べてもいらっしゃって、こうではないかとの予想をお持ちでした。

歯ではないか。
まず心配されていたのはそれでした。 

ウサギさんを飼われたことがない方には少し不思議な感じがありかも知れません。
自分で見てわからないのか。
そうなのです。ウサギさんの前歯は嫌がりますがどうにか飼主さんにも見る事ができます。しかしながら、奥歯を見る事ができる飼主さんはかなりのウサギさん通だと思います。なかなか見る事ができないのです。

通常噛み合わせが正しくないと、前歯や奥歯が通常の長さを超えて伸び続けます。
不成咬合と呼ばれるものです。
伸び過ぎた場合は、その歯がほっぺたや舌にあたって痛みますので、食欲が減ってきます。このことを飼主さんは心配されていました。

通常、歯の問題で食欲がない場合には、突然の食欲不振は少ないものです。
歯の伸びるスピードというものがありますから。
次第に食欲が減ってくる、あるいは好物がかわるということがあります。

そして、ウサギさんの食欲不振の原因で多いのは、毛繕いで胃にたまった毛玉が詰まってしまって食べなくなるというものです。
毛玉症と言われることが多いのですが、実は食滞といって、毛玉だけではないいろな食べ物が詰まっているわけではなく、動きが悪くなった胃の中で留まっているということもよくあります。

今回のウサギさんは両方の以上がありました。
奥歯には2か所の伸びた歯が見られ、そしてそれによって舌に傷がありました。
さらにレントゲンで検査をすると、食べていないウサギさんの胃は何かでいっぱいです。おそらくは胃の毛玉症か食滞です。

歯はすぐに処置をしました。
伸びているところをカットして、その後でカットした歯の表面を少し滑らかにします。

問題は胃です。
手術が必要か、あるいはお薬等をつかったないか療法で治せるか。
これまで多くのウサギさんの胃の手術を行ってきましたが、早くやるほど早くに元気になってくれます。
しかし、できれば手術をせずに治したいものでもあります。
一番避けたいのは、手術をしないで内科治療を行い、時間が経ってから、やっぱり手術しか解決策がないというようなことです。
手術を避けるがあまり、決断が遅れて、ウサギさんに苦しい思いをさせなければならないことは避けたいものです。

まずは慎重に胃の触診をします。
毛玉症の胃で手術をすぐにしなければならない胃は結構な硬さがあります。
この子はやや柔らかい胃の弾力です。
よく言われる、パン生地の硬さです。
しかしどこかで詰まっていなければ糞は出ているはず。
それが出ていないというのは、何かがおかしい。

造影剤を使って、胃の中にある物が少しは動くのか、少しも動かないのかを検査することにしました。
後で手術して胃を開けるかもしれないので、バリウムは使えません。 
他の造影剤を使って時間ごとのレントゲン写真でし食べてみると、どうにか胃の中の物はわずかながではありますが、動いている様子。
とりあえずは内科治療を行う事にしました。
しかし、後で手術が必要になる可能性はあります。

治療から2日目。
小さなお米のような形をした糞がでました。
水を飲ませたり、胃をマッサージしたり、点滴やお薬や。
3日目になると、数は少ないのですが、丸い普通の糞もみられるようになりました。

飼い主さんもそれを見て安心されていました。
まだ治ったとは言えませんが、よい傾向であることは確かです。
牧草をくわえている姿もみられるようになりましたよ。

もう少し治療は続きますが、飼主さんが早めにサインを見つけて連れて来られたのが良かったと思います。

ちょっと残念なのは、胃は治っても、歯はこれからも定期的に診察をしなければまた食べなくなる事が多いということでしょうか。

もっともっと元気になって、これまでのようにまた食べ過ぎるくらいに食べて欲しいものです。

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