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2014年11月

パルボウイルス感染症という病気

寒くなったので、上着がパーカーだけでは限界になってきました。
今日は日陰ができるくらいの日光は見られないのかも知れませんね。

ちょっと残念ですが、明日の予報は晴れなので期待しています。


先日はじめて来院された仔犬がいます。
はじめて犬を飼うご夫婦がお連れになりました。
かかりつけの動物病院で2日前に予防接種を受けてから体調が悪くなり、
2日目になってもよくならないので治療を受けていらっしゃいます。
夜になっても改善がないとのことでしたが、かかりつけはその日午前中だけの診療。
そこで当院に来院されました。

症状は嘔吐、下痢、そして食欲不振です。
しかも嘔吐が結構続きます。
白血球数や血糖値を調べるために血液の検査をしました。

飼主さんは飼い始めてまだ10日ほどの仔犬ちゃんがなかなか元気にならないので、とても心配をされています。
採血と点滴を行い、結果がでるまで少し待っていただきました。

白血球も血糖値も正常値でした。
とりあえずは腸炎の治療をして帰ってもらいましたが、翌日朝早くに再度来院されました。
夜中ずっと吐いていて、おそらくは寝ていないだろうということでした。
診察台の上で横になっています。
仔犬ちゃんが診察台で横になることはまずありません。
重篤な問題があることは明らかでした。
そこで再度同じ検査をすることにしました。

白血球数が900個/ulという結果です。
これは明らかな白血球減少症です。
月齢、飼われてからの時間、ワクチンの接種歴、症状から考えますと、類症鑑別リストに入る病気はかなり限られます。
しかしながら第一候補のパルボウイルス感染症であれば反応するはずの検査にだけ反応がありません。

この検査は症状がみられてから比較的早い段階ではないと反応がありませんし、早すぎても陰性と出ます。
パルボウイルス感染症という病気にかかると白血球数が減ります。
僕のこれまでの体験からは、2000個/ulくらいまでで再度増加に転じてくれれば助かったことがありますが、この子は900個/ul。
この子の場合は前日の検査で白血球数が正常値でした。
これはまだ感染初期の段階だと考えられます。
パルボウイルス感染症を仮定した場合ではありますが。

それが一気に900個/ulまで減るのはあまり見たことがありません。
そこまで白血球が減って回復した子をみたことがありません。

この子の病気の確定はできませんが、パルボウイルス感染症として治療する以外はなさそうです。
月齢によっては致死率の高い最悪の病気ですが、それを想定して治療をすすめることにしました。

感染症には感染源があります。
どこで感染をしたかということです。
この病気は感染してから症状が現れるまで5-10日ほどの時間がかかります。
飼主さんが飼われる前に感染したことも考えられますし、飼われてから感染したことも考えられますし。

ワクチンの影響も全くないとは言えないところです。
ワクチンはウイルス弱らせて病気が発症しないくらいにしたものです。
それが発症することは理論上はありません。
この仔犬ちゃんが受けたワクチンは当院で使用しているものではありませんが、調べてみると死亡例があることも知ることができます。

先輩獣医師に聞いてみましたら、その先生のところでは3匹くらいの子が同じようなことになったとのことでした。

ロンドンの友人(獣医師)に聞いてみますと、そこではまずワクチンによる発症は見たことがないという返事でした。
そうかどうかを調べる方法はあるけれども、なかなか難しいものです。

未だ飼われる前に感染をしていたのか、ワクチンで引き起こされたのかは不明ですが、何よりこの子はこのとても小さな体で頑張っています。
最近はなかなかみかけることがなかった病気ですが、やはり注意しておかなければならない病気であることは間違いなさそうです。
予防は、ワクチン接種、かならず有効と言える治療はありません。

朝からお天気ですね。
すっきりとしない日が多かったので、このような晴れ空ですと元気がでます。

昨日のことです。
ときどき朝にコーヒーを買いにいくチェーン店があるのですが、そこでのことです。
うちの動物病院は東京都中央区ということもあり、住宅街というよりはいわゆるオフィス街です。
おそらく大きな会社の本社がかなりの数ある地域になると思います。
まわりには住居よりもオフィスビルが多く立ち並び、多くのすごくお仕事ができそうな方々が見受けられます。
このコーヒーチェーンのすぐ近くにはIBMがあり、そこの方かどうかはわかりませんが、聞こえてくる会話にはそう思わせるような内容があります。

長くなりましたが、そのコーヒーチェーン店はまるで図書館の学習室のようになっているということを書きたかったのです。すぐ近くにある朝食を出してくれるハンバーガーチェーンでも同様です。

スーツを着た方々が朝のおそらくは出勤前に、コーヒーや軽めの朝食をとりながら英語で書かれた書類を読んでいる方や、英語の勉強をしている方、ノートパソコンでなにやら作っている方、そして読書をしている方。

何となく思う印象は、このあたりの大きな会社でお仕事をされる方には、勤勉な方が多いのではないかなということです。
当然のことかも知れませんし、どこでもそうなのかも知れませんが、特にこの界隈のコーヒー屋さんの朝の光景は圧巻です。

スマホをいじってゲームしている人はおそらくいませんね。
まあ、そうですよね、早起きして仕事前にコーヒー屋さんでゲームする人はあまりいない気がします。

環境が人を作るのか、人が環境をつくるのかわかりませんが、おそらくこの環境には勤勉な方の集団というような雰囲気があり、勤勉ではない、お仕事にあまり興味がない、そのような人には馴染まないよな印象があります。

前に読んだ本のことなのですが、勤勉で学習意欲をもって向上心のある方々の集まりには、同様の方々には大変心地よいが、そうではない人にはとんでもなく過酷で心地が悪いものだということが書かれていました。

そうなると、おそらくはその環境に馴染める人と、馴染めない人がいることになりますが、それは自然なことかもしれません。

少し自慢なのですが、当院のスタッフは皆一様に大変向上心がありとても勉強熱心です。そして最低でも皆1年以上の勤務歴があります。
僕は勉強が好きというわけではありませんが、仕事をする上でできるだけ新しいことは取り入れていきたいですし、時代遅れにはなりたくはありませんので、必要に迫られてではありますが勉強する機会は多いかも知れません。

おそらく向上心がある人が幸運にもここに集まり、その環境を心地よく思ってもらえているのではないかと考えてます。

食欲の秋、そしてときどき読書や勉強の秋ですねhappy01

渡米 -かなり専門的なお話-

冬の装いを見る機会が増えてきました。
僕はまだユニクロ厚手のパーカーですが、もうちょっとこれだけで頑張ってみるつもりですhappy01

来月12月4日(木)から9日(火)までアメリカで行われます外科コースに参加するために園田が不在です。
留守中は代わりの獣医師が診療を担当いたします。

今回は上の期間に2つのコースに参加します。
僕はあまり専門用語を使ってお話をすることが好きではありませんが、今回ブログ記事には医学的な専門用語がいくつかあります。

2つのコースのひとつ目は12月4日-5日に行われますWVC(Western Veterinary Conference)アカデミーの「トイ犬種と猫の骨折整復」です。もうひとつは、8日-9日に行われるAOVETの「獣医脊髄神経疾患の新しい手術手技」というものです。

どちらもネバダ州ラスベガスで行われます。

WVCアカデミーの方は前足、後足の全ての骨の骨折と、膝のお皿の脱臼や、膝の靭帯の損傷等、かなり盛りだくさんの内容です。このような内容を2日間で行うことは国内ではまずありませんし、実際の手術を行い、仕上がりをレントゲンで確認しながら検討会を行うこのタイプのコースはとても有意義です。
講師の先生は世界的にも有名な先生で、以前にもTPLOという膝の靭帯の手術コースでおせわになりました。日本がお好きなようで、日本語で書かれた名刺をいただいたことがあります。

WVCアカデミーのコース紹介のページへのリンク(英語)

AOVETのコースは脊髄神経疾患です。
主に頸椎の不安定症や、背骨の骨折、そして馬尾症候群と呼ばれる頭から尻尾までの背骨の安定化術がメインテーマです。
そのためには、コースに参加するために必要な基本的な知識と手技としては、頸椎の椎間板ヘルニアの手術手技であるベントラルスロットと呼ばれるものや、胸部、腰部の椎間板ヘルニアの手術手技の片側椎弓切除術、小範囲片側椎弓切除術、コルペクトミー(椎体切除)などの手技があります。
このコースは、アメリカの獣医神経外科専門医(ACVS or ACVIM Neurology Diplomates / Surgeons)を対象としたものですし、それ以外にも参加するためにはいくつかの条件がありますので、日本人の僕が参加するのはどうかと思いましたが、事務局に相談すると参加してもよいという返事をもらうことができました。

AOVETはもともと骨折治療のコースで有名です。
僕も国内の骨折整復コースには基礎、応用、どちらにも参加しました。
脊髄神経の外科は滅多に開催されませんので、とても貴重な機会になりそうです。

AOVETのコース紹介のページへのリンク(英語)

毎年1-2回は外科コースに参加するようにしていますが、今年はこれで3回目です。
1回目は2月のアイオワ州立大学での神経外科手術
2回目は9月の同じくアイオワ州立大学での骨折の整復手術(創外固定)
3回目は12月のラスベガスのWVCアカデミーの骨折整復、膝蓋骨脱臼整復、前十字靭帯損傷の外科手術と、AOVETの脊髄神経外科コース

僕は外科手術が得意ではありません。
得意ではないからこそ一番に力を入れないといけないと思っています。
整形外科、神経外科は対応が難しく、より専門的な動物病院を紹介することがあるものです。

以前に頸椎の手術が必要な子がいまして、他の動物病院を紹介をしようとお話をしていたところ、「先生のところではできないの?」
と言われ、大変に申し訳ないこともありました。

これまでずっとかかりつけで診察をしていながら、ここぞという大切な場面で対応ができないことはとても残念なことです。

アメリカでは整形外科疾患が増えていて、疾患別に見ると一番多いかもしれないようです。おそらく日本でもそのようなことになるかも知れません。

新しい十分な手技をもってお力になれますように日々是鍛錬ですねconfident

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