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2015年1月

角膜潰瘍という病気

昨日の雪と変わって、今日は天気の良い日になりました。
雪だけではなくて冷たい雨にもなりましたから、一日中ずっと寒かったですね。
そして、このような日に限って築地で会議がありましてお昼過ぎに2時間ほど出かけておりましたsnow

静岡県に出身大学が同じ獣医さんがいます。
彼の方が5年ほど学年が下でしたが、開業はほぼ同じで、とても頑張っている院長先生です。

そこをかかりつけの動物病院としていたワンコがお引っ越しで東京に来られ、近い所にお住まいとのことでうちの動物病院に来院されました。
これまで静岡でいろいろと大きな手術を受けながらその度にしっかりと元気になっていた子です。
今回は眼をショボショボするということで初めて来院されました。

通常、このような場合には瞬きで眼に痛みがあることが多く、また原因としては眼の表面に傷があることがあります。
今回もまずは眼圧、傷の検査、とすすめて行きますと、はっきりとわかる傷がありました。

まずはひとつずつしっかりと検査をする中で、傷の輪郭がややぼやけて見えるところがありました。
これは難治性角膜潰瘍と呼ばれる病気を思わせる所見です。
眼の一番外側の膜の一部がはがれてしまって、もとに戻り難いという病気です。
病気のしくみはわかっていますが、なぜこのようなことが起こるのかははっきりとわかっていません。

また、治る病気か治らない病気かで言いますと、時間はかかりますが治ります。

飼主さんも、紹介とはいえ、はじめての動物病院で心配するような病名を聞かされると不安も大きいだろうと思いました。
もちろん、正しいことをお伝えしないといけませんし、今後の見通しもわかる範囲でお話しするべきです。できるだけ飼主さんの不安を取り除きながら。

自分の顔に飼主さんを不安にさせる表情がないかに気を配りながらお話をしました。

そしてワンコの治療ですが、眼の表面だけに麻酔の目薬を点眼し、綿棒を使って眼の表面をそっとそっと擦ります。するとこの病気特有の眼の一番表面の薄皮がゆっくりとはがれて行きます。

これはできるだけはがさないと行けませんので、点眼麻酔を使いながら、そして綿棒を何本も使いながらはがして行きました。

そして1週間後、しっかりと治っているかと期待をしてみると、ほとんど治っていません。
また綿棒で表面の膜をはがし、今度はそのワンコのい血液からつくった血清点眼液というものを併用して使うことにしました。

眼の表面の薄皮をはがす作業をデブリードといいますが、このデブリードで難治性角膜潰瘍はかなりの率で治ります。
しかしその1週間後、まだ傷があります。

次の手段は角膜切開です。
正確には角膜格子状切開というもので、眼の表面に小さな傷をたくさん入れて治します。
今回も点眼麻酔薬を行って格子状に眼の表面に傷をつけます。

傷自体が薄くなってはきていたので、このまま格子状切開なしで様子を見ることも考えましたが、できるだけ早くに治したいことと、格子状切開はやって悪いことはないために、やらずに1週間様子を見るよりはよいと考えました。

飼主さんは3回目の来院でしたし、これまで次はこういうことをしますという次回予告をしながら治療をすすめてきましたから、だんだんと表情がほぐれてこられまして、今回は終始笑顔で診療を終わらせることができました。

あとは時間とこのワンコの治る力にたよるところです。
しっかりと治るまで頑張りましょうね。
次は大きな改善があるはずですよ。と、期待しながら。

前を向いて

久しぶりの雪でしたが、電車の遅延は少なかったようですね。
動物看護師の皆も少し早めに出勤してくれまして助かりました。


11歳のワンコの手術をしました。
お家に迎えられて間もない仔犬のころからずっと診ていたワンちゃんです。

ほぼ毎月のように来院されていましたが、その都度内科検診のみで血液検査をはじめとする健康診断を行ったことがなかったので、お勧めしてみました。

すると、脾臓に丸いコブがあることがわかりました。

これまで毎回いつも楽しそうに、そして飼主さんはお忙しいところを毎月予防や内科検診で来院されていましたので、その顔が浮かび、もう少し早くにおすすめしておくべきだったと辛い気持ちになりました。

おそらくは飼主さんも僕も、その必要性はわかってはいながらも、機会がなかったといいますか、きっかけがなかったと言いますか。
反省点としてはできるだけ多くの方に健康診断を受けていただくのがよいということです。特に6歳を過ぎたら。

このような場合、後ろを見て振り返ることは大切なことだと考えています。
それでも、後ろばかりを見ていてもいけませんので、懸命に前を向くようにしています。

飼主さんはこのワンコを飼われてとてもとてもかわいがっていらっしゃって、毎回少しずつではありますが、そのときどきにご心配なことをお話くださっていました。

健康診断の中でお腹の超音波検査をしたところ、脾臓にコブがあることがわかり、さらに詳しい検査と治療をかねて、脾臓を取る手術をお勧め致しました。
待ってみてもよい状況は期待が薄いですので、できるだけ早めに摘出することにしました。

飼主さんの心配はとても大きくて、いつもは感情的には同じに見えるところですが、今回はさすがに同様されています。当然のことですよね。

手術の前の日には、お電話をいただき、前日の注意点や食事についてをお話いたしました。

手術を始めました。
はじめは血管確保といいまして点滴の準備です。
その後、ゆっくりと点滴をはじめていくつかの注射をします。
最後に麻酔導入薬というものを注射してだんだんと眠りにつきます。

ワンちゃんは少なめの麻酔導入薬で眠りに入り、手術ができるところまで麻酔がかかりました。
皮膚切開をして脾臓を見てみますと、超音波で見たときを同じ様子でおなかの左側に大きなコブをつけた脾臓が見えました。

脾臓には多くの血液がたまっていますので、手術中に傷をすけてしまいますと、と手も危険な状況になります。
ゆっくりとゆっくりと脾臓を体の外に持ってきて、ここからが手術です。

脾臓につながる血管を一つずつ丁寧に処理して出血がないようにします。
最終的にはほとんど出血なしで手術を終わらせることができました。

飼い主さんは、当日は会わない方がいいですよね、興奮させてしまうといねませんしね、と面会はしない予定でしたが、お電話口ではとても会いたいのだという印象を持ちました。

興奮はこちらで判断して面会を中断してもらうかも知れませんが、よろしければ面会にいらしてください。
そのようにお伝えすると、とても喜んで面会に来られました。
幸いに手術後のワンちゃんも安定していましたから、はじめの予定よりも長めに面会してもらうことができました。

週末はお家で様子をみることができるということで、今日の土曜日に退院です。
週末は水入らずでゆっくりとできるといいですねconfident

アルプスの少女

明日は雪が降るという予報ですね。
昼間に少し出かけなければなりませんので小降りであればと願っています。

そう遠くはない異国の地からワンコの手術の度ごとに来院されていた飼い主さんがいらっしゃいます。

アルプスの少女の名前をもらった愛くるしいワンコは14歳を過ぎています。
大好きな飼い主さんと飛行機で行ったり来たりしていました。
これまで2回の大きな手術を経験し、今回3回目の手術を行いました。

この子の場合は治らない病気ではなく、手術を必要とすることが多いというだけで、毎回しっかりと治っています。
今回は乳腺の腫瘍を大きく取る手術を行いました。

このようなときにいつも検討をしなければならないことがあります。
どのようにすることが、ワンコと飼い主さんの幸せになるだろうかということです。

僕は獣医師ですから、病気は見つけたら治したいと思います。
しかし寿命がいつか尽きるとして、そのときまでに問題なく健康でいられるのであればその病気を治療せずに放置することも一つの選択になると考えています。

今回も年齢を考えますと、微妙な印象がありました。
14歳を過ぎていて、元気ではあるけれども、全身麻酔を使ったやや長めの時間を要する手術になります。

体力的なこと、術後の合併症のこと。
飼い主さんとお話をして、手術をすることにしました。
この手術には2つの要素があります。
ひとつは現在みられている腫瘍を取り除くこと。

そしてもう1つは今後のために予防的に乳腺を取り除くこと。

手術経験が豊富な先輩獣医師が以前にお話しされていたことを思い出します。
年を取っている子の場合には、治療的な手術をするけれども、予防的なところまではしないんだよね。

確かしに手術の行程が減ることはワンコの負担も減りますし、術後の回復も早いだろうと思います。
僕が考えるのは、やはり最悪のシナリオです。
それは、予防的な手術をせずに治療的な手術だけをして、このワンコがさらに長生きをしてくれた場合、また年を重ねたこの子に腫瘍が発見されたらどうするか。


先日、局所麻酔で腫瘍を切除したとても高齢のワンコがいました。
いつも近所でぴょんぴょんと跳ねながらお散歩をする姿をよくお見かけしていましたが、さすがにちょっとヨボヨボとすつ場面も目立ってきたワンコでした。
飼い主さんの希望で腫瘍を取ることにはしましたが、とても全身麻酔がかけられるような体調ではありませんでした。
あまり激しく動くことができなくなっていましたから、きっちりと痛みを取り除き、局所麻酔だけで皮膚の腫瘍を取り除きました。 
それから1か月も経たない頃、ワンコは天に召されました。
飼い主さんは気になっていた腫瘍がないきれな姿で見送ってやれたととても感謝していただけました。

全員が同じ考えをもっていらっしゃるとは思いません。
それぞれの飼い主さんの思いと向き合いながら、どのようにするのがよいかを決めることになります。

アルプスの少女は治療的なものだけではなく、予防的にも広めに腫瘍を取り除くことにしました。 
大きめの切開が必要ですし、術後の出血にも最新の注意が必要です。
とにかくしっかりと慎重に一つずつ行程を進めていくだけです。

ゆっくりと全身麻酔がかかったワンコは術後にはしっかりと目を覚まし、次の日からは食欲も旺盛になりました。

もちろん、全身麻酔に対しても特別な注意が必要でした。
高齢犬の麻酔ですから、そのまま目が覚めないことは何があってもさけたいところです。
このリスクを完全に避けるには手術をしないという選択以外にはありませんが、飼い主さんの必死な決断をこちらがしっかりと受け取って慎重にことを運ぶ以外にはありません。

3回の大きな手術を経験し、ますます元気に見えます。
これまでと違い、今回は異国に戻らなくてもよくなりました。
飼い主さんが日本で生活をされることになったからです。

ちょうど雪の予報の明日、退院の日を迎えます。
アルプスの少女は明日の雪を喜ぶでしょうか。

お知らせ

吹く風が少しばかり春らしくなしました。 
寒いですけど、冷たさが緩んだ気がします。

お知らせです>------------------------------------------------------------
1月31日(土)の午後は園田が東京都獣医師会の会合に参加するために不在です。
代わりの獣医師が診療を担当させていただきます。

1月31日(土)
9時から12時 担当獣医師 園田
5時から8時 担当獣医師 芳賀

2月1日(日)
9時から12時 担当獣医師 園田
5時から8時 担当獣医師 園田
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最近、特に思うことがあります。
この仕事を懸命に探求して行く中で、自分が到達したいところが遥か先にあるとして、そこまでの道のりには近道なんてものはないのだとつくづく思います。

これは自身の体験を通じて思うのではなくて、いろいろな先人達の発言によります。
あとは、その到達点にたどり着くまでの間、自身の探究心を失わずにいられるかだけのことなのでしょう。

このようなことはとても月並みな話ではありますが、身を以て思うことです。

そこで、今年の僕のテーマは「敢えて遠回り、敢えて面倒なことを積極的に行う」です。
きっと複数の選択肢がある場面では、直感的に最も困難な道を選択するのがまずはよいのだと思います。
狭き道、困難な道、一番面倒なこと。
当然、だからと言って必ず道が開かれる訳ではないでしょうけれども、そうしなければ決して開かれない道もあるでしょうから。

方向性は間違ってはいないはずです。
しかし実を結ぶかはわかりません。
そんなことを何となく年始に思っておりました。

こんなこと考えるなんて、僕もおじさんになったものです。

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