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アルプスの少女

明日は雪が降るという予報ですね。
昼間に少し出かけなければなりませんので小降りであればと願っています。

そう遠くはない異国の地からワンコの手術の度ごとに来院されていた飼い主さんがいらっしゃいます。

アルプスの少女の名前をもらった愛くるしいワンコは14歳を過ぎています。
大好きな飼い主さんと飛行機で行ったり来たりしていました。
これまで2回の大きな手術を経験し、今回3回目の手術を行いました。

この子の場合は治らない病気ではなく、手術を必要とすることが多いというだけで、毎回しっかりと治っています。
今回は乳腺の腫瘍を大きく取る手術を行いました。

このようなときにいつも検討をしなければならないことがあります。
どのようにすることが、ワンコと飼い主さんの幸せになるだろうかということです。

僕は獣医師ですから、病気は見つけたら治したいと思います。
しかし寿命がいつか尽きるとして、そのときまでに問題なく健康でいられるのであればその病気を治療せずに放置することも一つの選択になると考えています。

今回も年齢を考えますと、微妙な印象がありました。
14歳を過ぎていて、元気ではあるけれども、全身麻酔を使ったやや長めの時間を要する手術になります。

体力的なこと、術後の合併症のこと。
飼い主さんとお話をして、手術をすることにしました。
この手術には2つの要素があります。
ひとつは現在みられている腫瘍を取り除くこと。

そしてもう1つは今後のために予防的に乳腺を取り除くこと。

手術経験が豊富な先輩獣医師が以前にお話しされていたことを思い出します。
年を取っている子の場合には、治療的な手術をするけれども、予防的なところまではしないんだよね。

確かしに手術の行程が減ることはワンコの負担も減りますし、術後の回復も早いだろうと思います。
僕が考えるのは、やはり最悪のシナリオです。
それは、予防的な手術をせずに治療的な手術だけをして、このワンコがさらに長生きをしてくれた場合、また年を重ねたこの子に腫瘍が発見されたらどうするか。


先日、局所麻酔で腫瘍を切除したとても高齢のワンコがいました。
いつも近所でぴょんぴょんと跳ねながらお散歩をする姿をよくお見かけしていましたが、さすがにちょっとヨボヨボとすつ場面も目立ってきたワンコでした。
飼い主さんの希望で腫瘍を取ることにはしましたが、とても全身麻酔がかけられるような体調ではありませんでした。
あまり激しく動くことができなくなっていましたから、きっちりと痛みを取り除き、局所麻酔だけで皮膚の腫瘍を取り除きました。 
それから1か月も経たない頃、ワンコは天に召されました。
飼い主さんは気になっていた腫瘍がないきれな姿で見送ってやれたととても感謝していただけました。

全員が同じ考えをもっていらっしゃるとは思いません。
それぞれの飼い主さんの思いと向き合いながら、どのようにするのがよいかを決めることになります。

アルプスの少女は治療的なものだけではなく、予防的にも広めに腫瘍を取り除くことにしました。 
大きめの切開が必要ですし、術後の出血にも最新の注意が必要です。
とにかくしっかりと慎重に一つずつ行程を進めていくだけです。

ゆっくりと全身麻酔がかかったワンコは術後にはしっかりと目を覚まし、次の日からは食欲も旺盛になりました。

もちろん、全身麻酔に対しても特別な注意が必要でした。
高齢犬の麻酔ですから、そのまま目が覚めないことは何があってもさけたいところです。
このリスクを完全に避けるには手術をしないという選択以外にはありませんが、飼い主さんの必死な決断をこちらがしっかりと受け取って慎重にことを運ぶ以外にはありません。

3回の大きな手術を経験し、ますます元気に見えます。
これまでと違い、今回は異国に戻らなくてもよくなりました。
飼い主さんが日本で生活をされることになったからです。

ちょうど雪の予報の明日、退院の日を迎えます。
アルプスの少女は明日の雪を喜ぶでしょうか。

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