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角膜潰瘍という病気

昨日の雪と変わって、今日は天気の良い日になりました。
雪だけではなくて冷たい雨にもなりましたから、一日中ずっと寒かったですね。
そして、このような日に限って築地で会議がありましてお昼過ぎに2時間ほど出かけておりましたsnow

静岡県に出身大学が同じ獣医さんがいます。
彼の方が5年ほど学年が下でしたが、開業はほぼ同じで、とても頑張っている院長先生です。

そこをかかりつけの動物病院としていたワンコがお引っ越しで東京に来られ、近い所にお住まいとのことでうちの動物病院に来院されました。
これまで静岡でいろいろと大きな手術を受けながらその度にしっかりと元気になっていた子です。
今回は眼をショボショボするということで初めて来院されました。

通常、このような場合には瞬きで眼に痛みがあることが多く、また原因としては眼の表面に傷があることがあります。
今回もまずは眼圧、傷の検査、とすすめて行きますと、はっきりとわかる傷がありました。

まずはひとつずつしっかりと検査をする中で、傷の輪郭がややぼやけて見えるところがありました。
これは難治性角膜潰瘍と呼ばれる病気を思わせる所見です。
眼の一番外側の膜の一部がはがれてしまって、もとに戻り難いという病気です。
病気のしくみはわかっていますが、なぜこのようなことが起こるのかははっきりとわかっていません。

また、治る病気か治らない病気かで言いますと、時間はかかりますが治ります。

飼主さんも、紹介とはいえ、はじめての動物病院で心配するような病名を聞かされると不安も大きいだろうと思いました。
もちろん、正しいことをお伝えしないといけませんし、今後の見通しもわかる範囲でお話しするべきです。できるだけ飼主さんの不安を取り除きながら。

自分の顔に飼主さんを不安にさせる表情がないかに気を配りながらお話をしました。

そしてワンコの治療ですが、眼の表面だけに麻酔の目薬を点眼し、綿棒を使って眼の表面をそっとそっと擦ります。するとこの病気特有の眼の一番表面の薄皮がゆっくりとはがれて行きます。

これはできるだけはがさないと行けませんので、点眼麻酔を使いながら、そして綿棒を何本も使いながらはがして行きました。

そして1週間後、しっかりと治っているかと期待をしてみると、ほとんど治っていません。
また綿棒で表面の膜をはがし、今度はそのワンコのい血液からつくった血清点眼液というものを併用して使うことにしました。

眼の表面の薄皮をはがす作業をデブリードといいますが、このデブリードで難治性角膜潰瘍はかなりの率で治ります。
しかしその1週間後、まだ傷があります。

次の手段は角膜切開です。
正確には角膜格子状切開というもので、眼の表面に小さな傷をたくさん入れて治します。
今回も点眼麻酔薬を行って格子状に眼の表面に傷をつけます。

傷自体が薄くなってはきていたので、このまま格子状切開なしで様子を見ることも考えましたが、できるだけ早くに治したいことと、格子状切開はやって悪いことはないために、やらずに1週間様子を見るよりはよいと考えました。

飼主さんは3回目の来院でしたし、これまで次はこういうことをしますという次回予告をしながら治療をすすめてきましたから、だんだんと表情がほぐれてこられまして、今回は終始笑顔で診療を終わらせることができました。

あとは時間とこのワンコの治る力にたよるところです。
しっかりと治るまで頑張りましょうね。
次は大きな改善があるはずですよ。と、期待しながら。

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