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2015年3月

特別な思い -犬の全身麻酔-

水天宮前の桜が見頃です。
きっと満開です。

昨日は全身麻酔をかけての手術と処置がありました。
どちらもそれぞれの飼主さんには特別な思いがおありでした。

まずお一人目。
ワンコ数匹と生活されています。
今回はトリマーさんにご指摘されたとのことで、歯がぐらぐらして少し血液の混ざったよだれを治療したいということで全身麻酔で歯科処置をすることになりました。

以前にとてもかわいがっていらした一番若いワンコを亡くされたことがおありです。
この飼主さんは当院からやや遠いところにお住まいです。
お知り合いの方の紹介で近所の動物病院に不妊手術に連れて行かれ、そのワンコは手術直後に亡くなりました。とても元気で人懐っこく、皆から愛されるワンコでした。

その動物病院からのご説明には何も納得できることはなく、長いこととても辛い悲しみを抱えていらっしゃいます。
トリマーさんからの歯のトラブルについてのご指摘は以前からあったようですが、手術ではないとはいえ、全身麻酔での処置にはかなりの不安がおありのようでした。

しかもこの子は今回の身体検査で心臓に病気があることがわかりました。
やや麻酔リスクが高いことをお伝えしなければなりませんでした。
飼主さんのご様子から、「心臓の病気がありますから全身麻酔のリスクが高いです。」などとお話をするには、かなり慎重にお言葉を選択して、安心して頂く必要があります。

一般状態から、まず問題がないだろうと判断しておりますので、お任せくださいとお伝えし、もちろん、全身麻酔リスクもお話ししてから処置を進めました。

特別な問題もなく、予定していた処置と、全身麻酔をかけなければできない検査を終えることができました。
麻酔から覚めると10分くらいで立ち上がって歩くほどになっています。

すぐにでもお電話で無事に終わったご報告をしたかたのですが、前に亡くなったワンコのときも一度は麻酔から覚めましたと報告を受けた直後に急変のお知らせを受け取られたようでしたので、まずは1時間ほど様子を観察してからご報告をしました。

麻酔から覚めて1時間が経ちます。順調でしたよ。
そうお伝えすると、飼主さんは涙されているようでした。
その後は笑顔だったのでしょう、声が明るくなり、よかったよかったと安心されている様子でした。

この子のためだけではなく、他にも一緒に暮らしているワンコがいます。
その子達にも何かの目的で全身麻酔をしなければならないことが起こるかも知れません。
そのときのご判断を適切にしていただくためにも、今回は明るい結果をお届けしなければなりませんでした。

他に歯石を取って欲しい子がいます。
お電話の最後にそのようにお話しくださり、次に別の子の歯科処置を全身麻酔を行うことになりました。

もっともっと安心していただけるよう、僕たちでできることをしっかりとやるつもりです。

お二人目のお話です。
避妊手術で来院された仔犬ちゃんです。
普段手術は笑顔でお受けして笑顔でお返しする。ことを信条としていますので、あまり深刻なリスクのお話にはなりませんが、今回の飼主さんはお知り合いからのお話にとても不安をもたれたようで、一度手術予定をキャンセルされた方です。

やらない方がいいと言われたんです。
お知り合いにそのようにご忠告され、とても悩んでいらっしゃいました。

どのような場合も絶対に獣医師側のミスがあってはいけないわけですが、このような場合、お知り合いの方からの忠告に反して避妊手術をご決断されていますので、「絶対」がないものではありますが、特別な思いで手術にのぞむことになります。

いつもの手技をいつものように。
一つずつ、これまで何度も行ってきた手技をすすめます。
留置針という針を血管に挿入します。
点滴をはじめながら、麻酔をはじめ、お腹の消毒、そして切開。

「絶対」がないところで毎回思うのは、しっかりと手順を踏めばちゃんと終わるということです。これまで一度だって失敗はなかったのだから。
このようなときだけは過去の成功体験を精神的な糧にするしかありません。

たかが避妊手術です。
されど。

慣れてきて、気を抜いたところに多くの危険があるはずです。
願わくば、そのような危険と遭遇することなく進んでいきたいと願っています。

僕はきっと臆病者ですが、このようなときにはそれでいいのだと考えています。
単純な手技の手術でも、とても難易度の高い手術でも、同じように慎重にやれることは大切なことだと思っています。

飼主さんからは手術後に2回お電話がありました。
どれだけ心配されていたか察しますと、当然のように無事に終わったことは何よりでした。

飼主さんはご自身の選択を信じて僕に大切な命を託してくださったわけですから、その思いに比べてわずかかも知れませんが、こちらも懸命にお応えできた気がします。
避妊手術なのになんて大げさな、そんなお声もあるかも知れませんが、お一人目の飼主さんのように、心的トラウマを抱えて辛い思いを長くされることもあるものですから、毎回とにかく慎重に、そして笑顔で受けて笑顔でお返しできるようにしていきたいと思っています。

今日は二人とも笑顔で退院の予定ですconfident

不妊手術

水天宮前通りの街路樹のサクラが咲き始めました。
週末は気温が上がるとの予報ですので、一気に開花が進むのではないかと期待しています。

今週もいろいろと手術がありました。
その中で特徴的な手術がありました。
お一人目(1匹目)は、とても小さなワンコです。
1週間ほど食欲がなく、少ししか食べないとうことで来院されました。
お腹をさわるとかなり膨らんでいましたので、超音波検査、いわゆるエコー検査を行いました。
ほぼ瞬時にわかるほどの子宮蓄膿症です。
食事をとらなかった時間から考えますと少し時間が経っていたのかも知れません。
午前中に来院され、そのまま午後には手術を行い、卵巣と子宮の摘出を行いました。
とてもかわいがられているワンコで、飼主さんもとても心配されていました。
子宮蓄膿症は命に係ることがある病気です。

幸いにもこれまではみんな元気に退院できていますが、そのような情報はあまりにも楽観的すぎると考えておりまして、飼主さんに安心してもらうことができる段階までお話を控えています。

危ないこともあるというのが正しいことですので、インフォームドコンセントのところではよいこともよくないことをお話をしています。

手術手技はシンプルですが、炎症を起こしてもろくなった子宮であるとか、卵巣の周りの脂肪の付き方でその部分の処理で出血が多くなる可能性もありますので、2つとして同じ手術はなく、全てに個々のやり方を求められます。

一人目のワンコは細菌性の腹膜炎がありましたが、抗生物質が効いてきて、そろそろ退院できそうです。

二人目(2匹目)のワンコは大人の拳よりも大きな腫瘍が胸にあり、手術前の診察でこれが乳腺に起こる腫瘍で全部で4つあるということがわかりました。
なかなか来院ができなくてデキモノが大きくなってしまいました。
飼主さんは言い辛そうにお話しくださいました。

全身麻酔をかけて慎重に少しずつ剥離していきました。
思ったよりも多くの血管が入り込む腫瘍だったために予想していた時間よりもかかりましたが、術後の出血もなく翌日の退院では走って帰っていけるほどになりました。

飼主さんもその姿に笑顔をみせてくださいました。
この子は以前に不妊手術をしたのですが、そのときに卵巣がかなり大きくなっていて、検査の結果良性ではありましたが腫瘍化していました。
その手術はある程度お年をとってからの手術でした。

そして今週3人目(3匹目)のワンコはまだ若い中型の子です。
飼主さんが、腰を痛めたのだろうか(椎間板ヘルニアか)、元気がない。
そう言って連れて来られました。
いつもはお散歩にでかけてしばらく歩かないと排泄がないのに、今日は外にでるなりその場でしてしまったとのことでした。

これはトイレが近くなっていることが考えられます。
もちろん、それだけで決め手にはなりませんが、診断のためにヒントになることかも知れません。

はじめにお腹の超音波検査をしました。
恐れていた子宮蓄膿症でした。
子宮蓄膿症は陰部から外に膿がでてきることと、出ていないことがありますが、今週の二人はどちらも外からはわからないタイプでした。

当然のことながら、みなさんご自身のワンコをとても大切にされています。
命に係る場面では特別に大きな動揺があるはずです。
3人目のワンコの飼主さんも椎間板ヘルニアかな?と思って受診され、それが大きな病気であると伝えられ、さらには手術が必要で、しかも命に係ることもあると言われたわけですから、平静を保つことはまず無理な場面でしょう。

僕がよく意識することは、飼主さんのお気持ちやお考えと、獣医師という専門的な見方でものを見た場合との違いがある場合、違いがあるのが普通ですが、その差をそっと埋めることです。

できるだけここはそっと埋めることを心がけます。
しかも、できるだけ僕が変化に気づいた段階で、できるだけ早くに。

しかし、今回はその差を埋めるために十分な時間をとる余裕はありませんでした。
検査、診断、治療を一気に進める必要がありました。

飼主さんは目に涙を浮かべながら、これから始まる夜の緊急手術に向けてワンコを委ねてくださいました。

手術は順調に進んで行き、特別に想定外のこともなく終わりました。
緊急手術をしなければならないくらいの大きな子宮でしたので、もし翌日まで持ち越していたら子宮が破裂していてもおかしくはありませんでした。

無事に皆回復に向かっていて、またこれからもそれぞれの飼主さんと一緒に楽しい生活に戻れそうです。

やはり思うのは、不妊手術についてです。
この子達は、もし生後1年未満で不妊手術を受けていたら、おそらくはこのような手術を受けることはなかっただろうということです。

だからやりましょう!ということではなく、不妊手術をするかしないかは、誰もが一度は考えるところだと思います。
その選択のときに、このようなことも検討していただけるように気をつけてお話をしていかなければいけないのだろうと思いました。

とにかく、みんな元気に回復に向かっていることが何よりです。

貴重な教え そして反省

春らしいものがたくさん見られるようになりましたが、今日はとても風が強いですね。
関東地方の春一番がどれだったか確かではないとの天気情報をみましたが、今日の強風はまるで春一番のようみも見えました。

先日ワンコを連れていらした飼主さんがいろいろとお話をしてくださいました。
「先生ね、こんな話を聞いたのだけど、もっとこうした方がいいわよ。」

それは、お散歩で出会った方から聞かれたというお話でした。

いわゆるクレームです。
その内容はいくつかありました、それぞれが具体的なお話ではなかったために、ある程度は僕自身が自分なりに解釈しなければならないこともありました。

動物病院の診療、手術というものはとても専門性の高いものの一つだと思いますので、そのご意見に対して自分なりの考え方を述べることは容易なことです。
「それはこういう意味です。」とか、「仕方がないことです。」などと言ってしまえばそれで終わってしまいます。

絶対に聞いて終わりにしてはいけない貴重なお言葉でした。

ご自身はいろいろと僕に感謝や激励の言葉をくださり、当院の診療に対してご理解されており、満足していると言ってくださいました。
お話をしてくださった方は、とても言い辛いことをお話されているという感じではありませんでした。
先生のことを信頼しているし、これからもずっとここで診てもらいます。と、言いながら、おそらくはもっとこうすればいいと思いますと貴重な教えをお話しくださいました。

僕の勝手な解釈かも知れませんが、自分が懇意にしている者に対するよくないお話を聞いたことが辛かったというような印象です。だから、こうすればきっといいですよ。と伝えずにはいられなかった。そのような大変に思いやりを感じる熱弁でした。

そこで聞いたお話を全て実践しようと決めました。
年々当院で受診されるどうぶつの数は増えていて、特にこの1-2年の伸びは顕著です。
動物病院の診察数などの統計を見ますと都内の平均のおおよそ2倍の数で、近隣の方々だけではなく、お引っ越しで遠くに行かれた方々も引き続き通って来られます。
そのようなお一人お一人に心を通じ合うような診療を心がけることが僕の信条です。
それができていない場面をご指摘いただきました。

実際にこのようにお話をしてくださることはどれだけ貴重なことかと思います。
僕は年間で結構な数の本を読みますが、どの本よりも大切なことを教えていただけた気がします。

また是非いろいろな声を聞かせていただきたいと思います。
できればもっといろいろな方々からのお声を。
そして、多くの方々にもっともっと安心をご提供できればと考えます。
初心を大切に、新しい春を迎えます。

3月7日の土曜日は、

桃の節句も終わり、少しずつ温かな風も吹くようになりました。
あとは花粉がなければ嬉しいのですが、ちょっと残念です。

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お知らせです。
3月7日の土曜日は園田が終日不在です。
代わりの獣医師が診療を担当させていただきます。
3月8日の日曜日は朝からおります。
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昨日は2件の同じ病気での入院がありました。
椎間板ヘルニアのワンコです。

1匹目もワンコは検査の結果早めの手術が必要です。
検査センターの空き状況から、本日3月6日にMRIの検査を行い、そのまま椎間板ヘルニアの治療のための手術を行う予定になっています。

発見されたときと比べまして足の感覚が弱くなっています。
こうなると、手術で回復する可能性が低くなります。

あまり知られていないことかも知れませんが、椎間板ヘルニアで命に係る変化が起こることがあります。
進行性脊髄軟化症というものです。
軟化という言葉はあまり日常で使われませんが、壊死(えし)と同じような意味です。

椎間板ヘルニアの原因になる力がかかった脊髄神経が全く働かなく病気で、これは腰から始まったものでも、だんだんと頭の方へ進みます。

そうなりますと、最終的には頭のすぐしたまで到達し、呼吸することができなくなります。椎間板ヘルニアになってからおおよそ3日くらいから7日くらいまでの間にだんだんと進行することがあります。

この進行性脊髄軟化症は多いことではありません。
多くの場合は命に係ることは少ないと考えられます。

今回も今の段階ではそのようあ重い状態になるのかならないのかはまだ判断できる状態ではありません。
まずはできるだけのことをすること。
MRI検査が早くても本日の午後にしかできないとのことで、午後に検査、そして夜に手術の予定になりました。

まずはMRIの検査。
手術の適応でありますように少しでもよい結果を期待しながら。

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