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歩けるようになりましたよ -犬の子宮蓄膿症-

雨は降りませんが、どうもすっきりとはしませんね。
少しでも青空が見えると嬉しくなります。

<お知らせ> 6月20日(日)は午前診療のみで、午後の診療はお休み致します。ご迷惑をおかけいたします。申し訳ございません。


中型のワンちゃんが来院したときは横になったまま立てない状態でした。
ご飯も食べないし、あまり水も飲まない。
調べてみますと、子宮蓄膿症だということがわかりました。
この状態だと明日までは難しいだろうと、緊急手術をすることにしました。

この子にはいくつか手術をお勧めしている病気があり、命に係らないならばと先送りになっているところでした。
しかし今回は命に係ります。
飼主さんは横になったまま自分で立つこともできないワンちゃんを前に、手術に耐えられますか?ととても心配そうにお話されました。
確かにこの状態で全身麻酔をかけて子宮と卵巣を取り除く手術をすることは、獣医師であっても大丈夫だろうかと考えるところですし、飼主さんであれば尚のこと、その心配は大きいはずです。

前を向くためには手術しかなく、手術をしないとおそらくはこのまま明日までは持たないか、持っても数日だろうというのは誰の目からも明らかな感じでした。

飼主さんにはできるだけのことをしますね。
そうお伝えし、緊急手術の用意を進めました。
この日はとても手術が多く、ワンコの去勢手術、まぶたにできた腫瘍切除、膀胱結石の除去のための膀胱切開、骨にできた腫瘍の検査のための骨生検とその子の歯石取りと4つの手術が組まれていました。
そこに緊急手術が加わり、看護師さん達も手順を頭に入れていつものようにてきぱきと動いてくれます。

子宮蓄膿症のワンちゃんの飼主さんが、手術前に他のご家族にも会わせたいと面会のご希望がありました。
もしかしたら麻酔を掛けた段階で、、、そういう想定もしなければならない状況でしたから、できるだけ会っていただくことを優先しました。

まずは面会までに去勢手術を行い、次にまぶたの腫瘍切除と2件の手術を済ませました。

ちょうど獣医大学の学生さんが見学にいらしていました。
去勢手術ってこんなに早くにできるものなのですね。
そう驚いてつぶやいていのが印象的でした。
学生さんは大学の実習で3時間かけて行ったそうです。
大学生の実習と比べてはいけませんが、当院ですと長くても5分くらいだと思います。
これは当院に限らず、5分以上かけることは逆に難しい手術でもあります。

まぶたの腫瘍は眼という外観に大きく影響するところにメスを入れますので、仕上がりをかわいくしたいところです。
慎重に進め、見た目にははじめの計画のとおりに仕上がりました。

ちょどその頃面会が終わりましたので、そのまま3件目の手術である子宮蓄膿症の手術を始めました。
お腹の中では膿が漏れ出ていて、ところどころ腹膜炎が強く出ているところがあります。
まずは子宮と卵巣を摘出して、念入りにお腹の中を洗浄しました。
何度も何度も洗浄し、かなりきれいになったところで終了です。

飼主さんには手術が無事に終わったことと、もう少しの間は予断が許されない状況であることをお伝えしました。とにかくできることを、しっかりとやることしかありません。

その後、膀胱切開、骨生検査、歯石除去と続き、5時を迎えて午後の外来が始まりました。
この日はめずらしく、朝8時から夜の9時過ぎまで1分も休憩ができない日になりました。

見学にいらしていた学生さんにはあまり構えず、申し訳ないことをしましたが、このような日は多い訳ではないので、またいらしてくださいとお話をしました。

この学生さんの感想でもありますが、うちはとにかく看護師さん達のレベルが高く、実習や見学で来院される獣医大学の学生さんも専門学校の看護師さんもみんな驚かれます。

受付や外来のときに笑顔で対応しながら、手術室ではガラリと変わり、麻酔管理を含め手術の助手もしっかりとこなしてくれます。おそらく、新卒でお仕事をはじめた獣医師さん達の3年目であってもこうは動けないだろうと思います。

僕は彼女達をスーパー看護師と思っています。恥ずかしいので本人達にはそう思っていることを言いませんが。

子宮蓄膿症のワンちゃんのその後ですが、現在はまだ入院中です。
翌日に寝返りをうてるようになり、さらに翌日には立つことができるようになり。
そして昨日、手術から3日しか経っていませんが、トコトコと歩けるようになり。
今日はきっと走れるだろうというところまで回復しました。

飼主さんには命の危険をお伝えして臨んだ手術でしたが、昨日の段階でもう危険はなくなりました。あとは時間をもう少しかけて回復を待つだけですと宣言できました。

もう1匹、不妊手術をしていない女の子がお家にいます。
病気になる前に手術を検討されているようでした。

昨晩遅めに、偶然にも笑顔でそのもう1匹のワンちゃんとお散歩をされている姿を見ました。とてもホッとする瞬間です。

僕は飼主さんの心配が次第に薄れて行くことが、そうなっていただくために診療をしているところがあり、それが自分の責任だと考えています。
この仕事をしていて、正直なところ、嬉しいと思うようなことは記憶にはなく、どちらかというと、また一つ責任を果たすことができたという安心はあります。
昨晩のお散歩の光景はまさにそれでした。

いろいろと難しいことの多いのですが、曇り空の中に一段と輝かしい青空を見たような、そんな出来事でした。

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