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2015年7月

姉妹のワンコ

連日の猛暑。
外に出ますと、すべての室外機が稼働してるのではないかと思えるほどの、ちょっと変わった風が吹いています。
7月も今日で終わりですから、本格的な夏はまだまだこれからでしょうか。

家族であるどうぶつ、多くはワンコでしょう、いろいろな向き合い方や暮らし方があると思います。
当院をご利用の飼い主さんの中に、姉妹の小型のワンコを飼われている方があります。

僕がまだ独立する前に、他の動物病院で仕事をしていた頃からのお付き合いです。
新しく構えた動物病院は、その飼い主さんのお家から結構離れてしまいました。
ときには電車に乗って、ときにはご家族の運転される車に乗って来院されます。

昔はね、あの辺りはこんな風景だったのよ。
そのようなお話を今でもときどき聞かせていただきます。
電車の駅ができて人が増えてきたから、寂しかった街が賑やかになって。
そのような昔話を聞かせていただくのが大好きです。
診療の合間のわずかな時間ですし、毎回お話されるわけではありませんから、小さな断片のようなお話がたくさんあります。

そのお母さんが一緒に暮らしていらっしゃる姉妹のワンコはそれぞれ10歳を過ぎていて、まだまだ元気ですが、少しずつ体に年齢の影響が出始めています。

ほぼ2週間ごとに処置をしたり、血液の検査をしたりといった治療を行っています。
そしてこのお母さんはいつも姉妹のワンコのかわいいところ、好きなところ、感心するところをお話をされます。

診察台で処置を受けているワンコを満面の笑みでながめながら、この子はとってもいい子でね。とか、すごく賢い、頭の良い子なんですよ、とか。

もしワンコがご自身のお子さんだったらと考えたりすることがあります。
うちの息子はとってもいい子でね。とか、すごく賢い、頭の良い子なんですよ、なんてはお話さないでしょう。
ワンコだから、いろいろな自慢話をストレートにお話しできて、それがとても嬉しそうに見えます。

このような姿を見る度に、家族どうぶつならではのことなのだろうと、気持ちが温かくなります。
無条件にそのかわいさ、好きなところを表現できる。
このような対象は少ないはずです。

お母さんはいつも元気ですが、その秘訣はきっとこの子達がいつも一緒にいるからではないだろうかと思います。

おおよそ1か月ごとに行う血液検査でも、毎回の検査結果がとても心配のようです。
来院されるときには笑顔でいろいろなお話をしてくださいますが、血液検査の結果をお待ちいただき、結果のご報告をお伝えするときだけとても不安そうなお顔をされます。

幸いにいまのところ良くない結果をお知らせすることはありませんが、大切に大切にされている様子が大変にわかりやすく、こちらも笑顔になってしまいます。

そしてこのことは、決してこの姉妹に限ったことではなく、多くのご家庭である姿なのだと思います。
とてもわかりやすく表現される方と、そうではない方があると思います。
そこには家族であるどうぶつ達への共通の想いがあるはずです。

かけがいのない、生まれてからお別れまでをおうちで過ごすこの家族達です。
ヒトの家族のように、自分でできることが限られています。
トイレ、お散歩、お出かけ、食事。
その程度は様々かもしれませんが、いろいろとお世話しなければなりません。
だからこそこんなにもかわいいのかも知れません。

ヒトと同じ言葉を話すことはありませんが、目や表情でいろいろなことを伝えてくれます。
できるだけ長く、一緒にいられますように。
本当に。

一次情報

昨日の雨はすごかったですね。
あれもゲリラ豪雨というのでしょうか。

最近ありました対照的なできごとです。
インターネットに関係することです。

当院の近くにお住まいの飼主さん(プーママさんとします)が遠くに越されていきました。
そのお話は事前に伺っていましたが、その方が来院されました。
長い距離を2匹のワンコを連れて。
簡単に来られる距離ではありませんので、よほどのことかと思いましたが、プーママさんからお話を伺うと歯科診療についてでした。

犬の歯石を取るには全身麻酔が必要だと、プーママさんの現在のお住まいの近くの動物病院で言われたとのことでした。
しかしながら、インターネットを見ると、麻酔をしないでも歯石を取れるという動物病院があるようだと。
どちらがよいのでしょうか。
そういう質問でした。

これは大変に冷静な判断だと思いました。
情報には一次情報、二次情報、三次情報などありますが、まずは直接の話で一次情報を大切にされる方です。
そして、プーママさんは飼主さんとしては「麻酔なし」という何だか都合の良さそうなものに飛びつかず、確かな話は何だろうかという見方がおできになる方です。

犬の歯石取りを麻酔なしで行うことは基本的にはよくありません。
無麻酔でも歯石が少し付いただけで、ワンコがおとなしくしてくれていればできないことはありませんが、口の内側の歯肉ポケットや奥歯などにハンドスケーラーと呼ばれる歯石取りの器具を入れることは危険が伴います。
つまりは見栄えはある程度よくなりますが、本当に必要な処置はできません。

無麻酔で歯肉炎の予防や治療を十分に行うことはできません。
まずはどこに問題があるかと言いますと、全身麻酔で歯科処置をする場合と、無麻酔で行う場合に、まるで同じことができるという誤解があると思います。

全身麻酔では十分な処置ができても、無麻酔でできることにはかなりはやいところに限界があります。
しかし、このことをしっかりと伝えるところは少なく、あたかも麻酔を使わなくても同じことができるかのような錯覚を与えてしまいます。

結局プーママさんのところのワンコ2匹は全身麻酔での歯石取りを含む口腔処置を希望されました。

次に来られたのはシーママです。
当院をかかりつけとされている訳ではありませんが、時々来院されます。
以前に歯石が重度に付いていたために歯肉炎が酷かったことがありました。
そこで、全身麻酔での歯石取りをお勧めしていました。
今回は別の症状での診察でしたが、診察の中で口の中も見てみました。
歯肉炎があるにも係らず、歯石の量が減っています。
お話を伺いますと、インターネットで麻酔をかけずに歯石が取れるという病院に行っているとのことでした。

このような時にはかなり迷います。
シーママには歯石取りには全身麻酔が必要ですとお伝えしてあります。
しかし、麻酔をせずに歯石取りをするという動物病院に行かれ、一応見えるところでは歯石が減っていますが、歯周ポケットまではお手入れできなかったのでしょう、歯肉炎がそのままです。
そのことをお伝えする必要があるかどうかです。

おそらくはご理解の範囲を超えていると思います。
インターネットに載っている無麻酔で歯石取りができるところを探して行かれたとのことでした。
一度も口腔処置のお話をしたことがなければ、しっかりと本当のところをお話しなければならないところですが、すでに何回もお話をした後ですから今回はそうではありません。
シーママが懸命に探されたところですから。think
シーくんは毎回無麻酔で怖い、痛い思いをしていると思いますが、それでも我慢強く頑張っているのだと思います。

ただ、このことは、シーママだけが悪い訳ではありません。
全身麻酔に対する過度なまでの恐怖心の原因があると思います。
それは獣医師に責任があるところだと思います。

対照的なのは麻酔をかけて歯科処置をした プーママと無麻酔での処置を続けているシーママということではありません。
一次情報を基本として、安易にインターネット情報だけで選択をしなかったプーママとインターネットの情報だけで選択をされたシーママの違いです。

デジタルの時代だからこそ、むしろアナログな人と人の直接の向き合い方を大切にして、自分の目の確かさを信じてうごきたいと思うできごとでした。

目がぐるぐるします。ー犬の中耳炎ー

いきなりの雷雨⚡️になりなしたね。
外にいらして傘をお持ちではない方も多いのでないでしょうか。
すぐに止むといいですねどね。

休診日にお電話が入りました。
これまで何度も来院されていた小型のワンコの飼い主さんからでした。
目がぐるぐる🌀しているんです。

すぐに来ていただいて、みてみますと、その時は特別変わった様子はありませんでした。
一応考えられる病気をリストアップして、その中から検査と治療を行いました。
帰られてからほどなくして、またお電話がありました。
また目がぐるぐる🌀しています。

お話を詳しく聞きますと、目がカチカチと左右に振れているようです。
眼振と呼ばれる症状です。
先ほどの治療でも薬が効けば改善は期待できましたから、少し様子をみてもらうことにしました。

翌日にも来院していただきました。
そこではまた眼振と軽度の斜頸がみられました。
首が少し右に傾いています。

前庭と呼ばれる脳の領域の問題が考えられました。
飼い主さんはとても明るい方で、よく笑う方ですが、さすがにこのときは笑顔はあっても笑いはありませんでした。

MRIの検索で頭の中を詳しく調べてみることになりました。
飼い主さんにお話したのは、あまり心配のない病気から、なかり厄介な病気までいろいろです。
その中には中耳炎もあれば脳腫瘍もあります。

MRIの検査結果が出ました。
中耳炎です。

中耳炎は耳という字が付きますから、耳の病気と思われがちですが、どちらかと言いますと鼻の病気です。例えば飛行機に乗っている時などに耳の奥の方にある鼓膜に耳側から圧がかかりますと、耳が痛くなることがあります。
鼻をつまんで鼻側から圧を加えることで解消されたりします。
鼓膜は耳側と鼻側の通り道を隔てるようにあります。
その鼓膜の鼻側、耳からみますと、鼓膜の向こう側で起こるのが中耳炎です。

これを耳側から覗いて知ることは難しいことがあります。
MRI検査では、鼓膜の向こう側の鼓室というところに液体が多く貯まっていることがわかりました。
これが中耳炎で起こっていることで、そのために眼振や斜頸がみられているというのが検査わかったことです。

飼い主さんはほっとされていました。
腫瘍も覚悟されいましたし、脳炎も心配されていました。
病気の中では最もと言っても良い、よい結果だったと思います。

まだ食欲がありませんから、点滴をしたり、お薬を注射したりして治療を行いました。
飼い主さんは次第に笑顔が増えて、今日はまた少しだけ大きめに笑っていらっしゃいました。

斜頸はまだ少し残りますが、眼振はなくなりました。
食欲もだんだんと戻っていますから、お薬も注射ではなくて錠剤になりました。

今日はお散歩での注意点をお話ししました。
熱中症対策です。
まだあまり長いお散歩はできませんが、だんだんと距離や時間を長く取れるようになっているようです。

だんだんと笑顔になられる飼い主さんがとても印象的で、ワンコの回復よりも少し早いペースで笑顔が戻られた感じでした。

もう少し。
しっかりとよくなりますよ。

夜中の緊急手術 -胃拡張・胃捻転症候群-

青空がとてもとてもキレイな日になりました。
熱中症には注意してくださいsun

夜の診療が終わって30分ほどしたところで、電話がなりました。
飼主さんが帰宅されると、15歳のワンコがチョコレートを大量に食べて動けなくなっているとのことでした。
すぐに来ていただきました。
近くにお住まいなので、15分ほどで到着されました。

思っていたよりもぐったりとしていて、立つことも動くこともできそうにありません。
触診をすると、胃がかなり大きくなっているのがすぐにわかるほどでした。
「吐きたそうにするけど吐けない」

飼主さんがそう言われたところで、よくないことが起こっていることは明らかでした。
胃拡張は間違いない、もしかすると胃捻転も。 

レントゲンを撮ると典型的な像がみられました。
胃拡張・胃捻転症候群は緊急手術が必要です。

飼主さんにお話をすると、15歳の、このぐったりとしている子がそんな手術に耐えられますか?と涙ながらに聞かれました。
ここはしっかりとお伝えしなければならないところです。
何もしなければおそらくは朝まで持ちません。
しっかりとできるだけのことをしますから。
そう約束して手術をすることになりました。
看護師は診察室での話を聞いていてくれて、僕が診察室から出てくるとすでに手術の用意を始めていてくれました。そのおかげで到着から15分ほどで手術を始めることができました。

まずはすぐに胃切開が必要です。
胃にメスをいれると、シューッとガスが抜けてお腹のほとんどを占めていた胃が小さくなっていきます。
ここからは胃の中身をできるだけ出さなければなりません。
吸引機を使って液体を吸引しようと試みましたが、全く吸えません。
粘稠性が高く、チョコレートだけではなくアーモンドや包み紙もあったので、すぐに吸引機が目詰まりを起こします。

何度も何度も吸引機の目詰まりを解除しながら胃の中の物を慎重に取り出しました。
かなりの時間がかかりましたが、はじめの段階で胃の捻転と拡張はすでに解決しているので、ここからは命の危険のない状態での作業でした。

すると、チョコレート、アーモンド、包み紙の他に大人の拳ほどの毛糸のような塊が出てきました。
もしかするとこれが胃拡張・胃捻転症候群を引き起こした元凶ではないかと考えられました。

できるだけきれいに洗浄してお腹を閉じました。

ワンコは麻酔からの覚めが少し遅めでしたが、しっかりと覚めてくれました。
そこで飼主さんにお電話してご報告です。

まだ辛いお気持ちでいらっしゃると思いましたが、無事に手術終了したことは朗報だったと思います。

点滴を続け、朝までには立って歩けるようになり。
そして水のちゃんと飲めるようになりました。

遅くの緊急手術にも係らず、迅速に動いてくれた看護師達にも本当に感謝です。
この手術ができる獣医師は大勢いますが、うちの看護師のように動ける看護師さんはそう多くはいません。
彼女達が救ってくれたようなものです。

ちょうどその日は動物看護師の学校から1名、国立の獣医大学から1名の実習生がいました。 
うちの看護師さん達すごいでしょ?
そう聞きますと、二人ともうなづいていました。

今日は手術から2日目です。
おかゆ状の食事をとることができるようになりました。

飼主さんもご面会に来られて安心された様子でした。

もう少ししたら早めに退院しようね。
とっても元気になりそうだから。

桔梗門

梅雨らしい日が続きますねrain
少しでも晴れ間が出ると嬉しくなります。

昨年はご来院いただいていた方から今年は往診をと依頼がありました。
確かに4頭を2頭ずつに分けて2往復されるよりも、こちらから出向いた方がいろいろとよいので往診をお受けすることにいたしました。

特別に入る方が制限されている入り口、今回は桔梗門(ききょうもん)とう聞き慣れない門で待ち合わせです。

往診先は皇居です。
皇居の中には特別な警察署があります。
警視庁ではなく、皇宮警察の管轄です。
桔梗門近くには警視庁の交番のような小さな建物もあり、門の外と内とで異なる配置があるようでした。
今回はその皇宮警察本部の警察犬の診療です。
皇宮警察本部へのリンク

桔梗門までお迎えに来ていただき、事前にお伝えしていました看護師の名前を係の方に伝えて入りました。

僕の名前は既に記録されています。

門のところで警部さんと警察犬担当の方に出迎えを受け、一般には入れないところへ案内を受けました。
皇居内には皇宮警察の警察学校もあり、また警察官の方々の道場もあり、警部さんにはここは伊藤博文が使っていた建物ですよと案内された建物も現在現役で使われていました。

皇宮警察学校へ行かれる方々は、皇居内の寮から通われるようで、週末以外はあまり皇居外への外出もされないようでした。
その後学校を卒業されると、男性はまた官舎で2-3年過ごされるとのことで、皇居内で生活し、皇居内でお仕事をされるとのことでした。

警察犬の担当はそれぞれ決まっていて、4頭の警察犬は4人の警察官の方についていました。
それぞれが訓練をされたり、健康管理をされています。
警部さんのお話ですと、犬を見ると訓練している警察官の方がわかるくらいに似てくるということでしたhappy01

お電話で病状をお伝え頂く時も、本当に自身のパートナーを気遣うようなそのご心配が伝わって来ます。
一般の飼主さんとは異なる、いろいろな制約がありますので、治療を希望されても実際に治療に至るまでにはいくつかの過程があります。

今回ははじめての往診でしたので、犬舎や実際にお仕事をされている建物へも入れていただき、皇居内で販売されているお菓子等いただきながら初めて聞くお話を興味津々で聞き入ってしまいました。

往診のことをブログに書いてもよろしいですか?
恐る恐るお尋ねすると、結構ですよとのお返事。
珍しいことですので、少しご紹介させていただきました。

大切なお仕事を担う警察犬。
まだまだ現役でお仕事できそうです。

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