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2015年9月

海岸線がきれいな街に行ってきました。

連休はよい天気でしたが、今日はまた少し雲が増えてきましたね。

連休の9月22日と23日は泊りがけで出かけてきましたよ。
22日に数件の外来を診て、それから出発しました。
行き先は千葉県鴨川市。
鴨川シーワールドがあるところです。
僕の目的地はそこから少しだけ車で移動するところです。

僕が獣医師になって5年が経った頃、当時の動物病院の院長から東京に分院を出すからそこで分院長をしないかと提案がありました。
仕事を始めたのは京都で、そこで5年間を過ごしました。
生まれは九州ですので、東京というところはどこかに行く途中に通過したり遊びに出かけたりしたことはありましたが、住んだり仕事をしたりいう考えは全くないところでした。

そこで分院長。
まだ獣医師として5年だけの経歴しかない頃です。

そのときにとてもお世話になった方があります。
お孫さんがあってもおかしくはない頃の男性です。
当時猫さんをよく連れて来られていました。

ある日「先生、菊の花いる?」と言われました。
ちょうど分院の入口が寂しいと思っていましたから、欲しいですとお伝えし、小さな菊の花があれば少しはいい感じになるかな?などと思っていました。

そこに持って来られたのは、僕の背丈ほぼどの菊がたーくさん。
動物病院の入口の扉以外のスペースに全て。
菊の花がズラーッと並びました。

正直、少し戸惑いました。
とても立派な菊ですが、お供え用のお花の印象がありますので、それが入口スペース以外に並んでいますので、何かの行事でもあるのかと思わせるものになりました。

それを皮切りに、そのお父さんは数年間に渡り入口に花が途切れないようにしてくださいました。
花が痛んでくると新しい花、そしてそれの鑑賞期間が終わるとまた違う花といった具合に1度も途切れたことがありませんでした。

これを全てご厚意でやってくださいました。
今の動物病院とは違い、そもそも僕は雇われの分院長です。
そのご厚意に対してできることも僅かでした。

そして僕が今のところに独立をする、ちょうどその頃に鴨川の方へ新しくお家を構えられ、引っ越して行かれました。
長年大変大変お世話になったにも関わらず、何のご恩も返せずにいました。 

そのお父さんにはご兄弟がありまして、妹さんにときどき自宅近くでお会いします。
この妹さんもよく猫さんを連れて来られていました。
お会いするときは僕が自転車に乗っていたり、横断歩道ですれ違ったりで、ごあいさつをするくらいでしたが、1月ほど前にお会いしたときに、少しだけゆっくりと立ち話をすることができました。

お兄さんはお元気ですか?
当時街に住む方々にとって、あの動物病院の前のお花は話題だったようです。
とても立派でしたから当然のことだと思います。
地域の方々によくしていただくのも、あのお父さんが懸命に応援してくださったからだと思います。

元気ですよ。
年をとりましたけどね。
よかったら鴨川に遊びに行ってみてください。

そう聞いて、できるだけ早くに実行してみようと思いました。
なかなか時間が作れませんでしたが、今回は思い病気の子が少なくなっていましたから、このタイミングを逃すと次は難しくなるだろうと考えて、鴨川行きを決めました。

何だか大袈裟ですが、僕にとっては1泊2日の旅はとてもとても貴重です。

東京から電車で2時間。
鴨川の駅に降り立ちますと、改札のところで、待っていてくださいました。

先生ー、印象変わったね。
休日にはよくメガネで過ごしますので、そのせいのようでした。
僕もそれなりに年をとりましたね。

8年ぶりの再会でしたが、お父さんは何も変わっていないようでした。
はじめはごあいさつだけして、あとは旅館でのんびりと過ごそうかと思っていましたが、車でいろいろなところに連れて行っていただきました。

次の日も、朝に旅館に迎えに行くからね。と言ってくださって、鴨川を出る2時の電車に乗るギリギリまでいろいろなところを案内してくださいました。

ぼーっと海を眺めたりもできましたし、漁師町の雰囲気を堪能することもできました。
街はどこに行っても波の音が聞こえてくるような、そんなところで、東京の喧騒を離れて、久しぶりのオフを存分に楽しむことができました。

何となく忘れかけていた、スローな生活を思い出すことができました。
また東京に戻ったら仕事を頑張ろう。
人と人のつながりを大切にしよう。
そう思いながら帰路につきました。

結局仕事人間なのかも知れませんが、休まないとよい仕事は難しいかも知れないなと思う休暇でした。

また行きたいと思っています。
なかなか泊まりでは行けませんが、日帰りでもいけるところです。
のんびりとした時間が恋しくなったらすぐにでも。

よい出会いに感謝しています。

家族みんなの思い

なかなか晴れ続きにならないものですね。
特に今日は湿度が高すぎますcoldsweats01

3歳の小型のワンコが来院しました。
お腹をこわしていて、なかなか治らないということでの転院でした。

いろいろとお話を聞きますと、お近くの動物病院や2-3か月前には遠くにある高度医療ができる動物病院にも行かれたとのことでした。

身体検査をすると、いくつかの異常が見られました。
下顎のことや他の体の表面のリンパ節が大きくなっています。
血液検査でも異常がみられ、ほぼ明らかに悪いものを想像してしまいます。

お腹の超音波検査でも異常があったために、飼主さんにお話をして、お腹に針をさして細胞検査をすることにしました。

出た結果はリンパ腫。

全身に及ぶ悪性のいわゆる「がん」です。
(正式には「がん」とはいいませんが、よく使われる「がん」と同じことなので、「がん」ということで続けます。)
まだ3歳ということで、いくつかの動物病院では見落とされてしまったのかも知れません。

ここからはどのように治療していくかのご相談になりました。
この病気は外科手術で取り除くことはできません。
基本的に抗がん剤をつかうかどうかです。
使わなかった場合は、無処置で自然に任せることになります。

僕は抗がん剤(化学療法)をすすめました。

ヒトのリンパ腫は化学療法で治る可能性のあるものとして、あげられています。
完治と言ってよいものかどうかですが、病気の兆候がみられない状態(寛解期)が5年以上続けば、よくなったと見てもよさそうです。

犬では完治の話は聞いていませんが、よい状態が得られる子をよく見ます。
副作用は始めのころには見られることがありますが、重篤なもの2回目からはほぼ見られません。

飼主さんの決断は。
抗がん剤はできるだけ使いたくはない。
ということでした。

飼主さんのご希望の中で、どうしてもお伝えしたいことがありました。
この子は目が大きい子ですが、その目がさらに少し出ているように見えます。
これは目の奥にも「がん」があって、それが奥から目を押していると予想されました。
どうにかこの「がん」を小さくできないと、目の変形がかなり進んだり、顔の印象がかなり変わることが予想されます。
毎日みる顔が変形したら。

それと、飼主さんは僕が思うよりも化学療法の副作用がずっとずっと強烈に現れると思われているようでした。

お医者さんも、自分ががんになっても抗がん剤は使わないって言うじゃないですか。
これはご家族のお一人がお話しされたことです。
確かに僕も自身が肝臓がんだとか膵臓がんだとかの場合は希望しないかもしれません。
しかしながら、白血病やリンパ腫なら、できるだけ早めに始めたいと思っています。
抗がん剤を使った治療方法はいくつかあります。
それぞれのプログラム毎に名前がついています。
僕がおすすめしたのはウィスコンシンプログラムと呼ばれるもので、よい状態が結構続く印象があります。

これとは別にお勧めしたのは時間のかかる点滴ではなく、抗がん剤を1週間に1回注射をしながら、別の薬を毎日薬を飲むというものです。
効果は限定的です。
しかし一定の効果は実感できます。

飼主さんは、
1.抗がん剤プログラム
2.簡易的な抗がん剤治療
3.ステロイドを飲むだけ
4.何もしない
の中から選択することになりました。
できれば1をご選択いただければと思いました。
はじめ3を選ぼうとされましたが、これだとほとんど効果が期待できないために、どうにかせめて2にしませんかと強くお勧めしてしまいました。

僕はこの後にどのようになっていくかがおおよそわかります。
そのこともお伝えしましたが、ご家族のなかに以前抗がん治療を受けられた方がおありか、何となく体験に基づくと思われる消極的な感じを受けました。

まずは1回目の注射をしまして、1週間後の2回目のときには体の表面のリンパ節はほとんど触れないくらいに小さくなっていました。
飼主さんからも副作用のようなものは何も見られませんでした。とのお話をいただきました。
眼圧が上がって、浮腫を起こしていた角膜も透明に戻っていました。

そして3回目のとき。
この子とはあとどれくらい一緒にいられるでしょうか。
余命についてのご質問です。
おおよそこれくらいではないでしょうか。
予想をお伝えしました。

いろいろと多くは望んではいないんです。
そう言われ、覚悟のような、少しあきらめのような。
ただ救いはワンコがとても元気なことです。

いつかは来るお別れの日。
ある程度具体的なものになる中で、できるだけ長くを望んだり、でも辛いかも知れない治療は避けたかったり、いろいろな思惑があります。

僕はこれまで一緒に過ごしてきた最後にご家族とこのワンコがお互いに「ありがとう」とお別れできるようにどれだけお手伝いができるかが仕事になりますから、治すことができない病気を判断した後はとにかくご意向を尊重するのみです。

次も前回のように笑顔で来院してもらえるとよいのですが。
期待しています。

訪問客

昨日は朝方の強めの雨の後、きれいに晴れ上がりましたねsun
あんなこともあるのですね。
そしてまた夏を思わせる日差しも少しばかり懐かしいものでした。

先週頃からメールでうちの動物病院の見学をしたいと連絡がありました。
まだ最終的な予定が決まらないとのことで、具体的な話ではなかったのですが、今日正式に依頼がありました。

去年の12月にラスベガスで行われた小型犬の骨折治療の講習会で知り合った韓国人の獣医師さんからでした。
彼は韓国で獣医師をされていた先生で、その後北米の獣医師免許を取られ、当時カナダで獣医師としてお仕事をされていました。

小型犬の骨折の治療のコースは2日間だったので終わった後に、グランドキャニオン観光に行かないかとお誘いを受けました。
僕はその後にもAO North Americaという団体が主催する動物の神経外科のコースに参加予定だったので、お断りしなければなりませんでした。

そのときから今年日本に行く予定だと伺っていましたので、連絡先を交換していました。

日本のこともある程度ご存知で、何回か来られたことがおありのようでした。

今回は2日間見学をご希望です。
僕は韓国語はアニョハセヨくらいしか知りませんのでcoldsweats01会話は英語になります。
日本人と韓国人が英語で話さなければならないのは何だか少し悲しいことですが、楽しんでもらえたらと思っています。

日本、韓国、カナダ、アメリカの動物病院のことをいろいろと話せたらと思っています。楽しみです。


ことばよりも通じるもの

rain雨が続きますね。
こんな日の後に秋晴れがあると嬉しいんだろうなー、と思う朝でした。

自分が何となく考えていたことを、他の誰かが同じ事を言ったり、本に書いてあったりするのを見つけると嬉しくなるものです。

当院に来られるどうぶつ達の中には、他では暴れてしまって採血もできませんでした。とか、毎回麻酔をかけて治療していました。とか、気性が激しくて触れないと思います。とか、そのような子達が本当におとなしく診察や検査や治療を受けてくれることがあります。

どんな子でも、...そういうことはできませんが、結構驚かれます。
不思議。と、毎回言われる方もあります。

ここには僕なりの思いがあります。
どうぶつ達とのコミュニケーションについてです。

彼らはヒトと同じ言葉を使わない代わりに、感情を鋭く読み取ります。
こちらが恐れていると、そのヒトの感じている恐怖がどうぶつ達に伝わり、どうぶつ達も怖がるようになります。

診察室で診察をしている場面での例です。
診察台にワンコが乗っています。
動物看護師がそのワンコを診察台の上で抱っこしています。
その前に僕がいます。

このときに、どうぶつ達は直接触れている動物看護師のようすを感じ取ろうとします。
動物看護師が緊張していると、その緊張は無意識のうちに自身の筋肉を硬化させることがあります。
このときに、柔らかな腕に抱っこされているのと、少し固くなった腕とは違った印象を受けるはずです。

うちの看護師達はどうぶつ達によく声掛けをしてくれます。
いい子だね、大丈夫だよ。
これはどうぶつ達の緊張をほぐすだけではなく、自身の気持ちにも無意識にはたらくと思います。

いくらやさしくどうぶつ達に接しようとしても、いろいろな場面に対応できる技術がないとやはり緊張は解けません。
気持ちと技術はともに大切な要素だと考えています。

そして僕が真っ正面に立って固い表情で近づくと、これはどうぶつ達に不要な緊張を強いる事になります。

飼主さんがそばでとても緊張されていたり、怖いねー、怖いねー、注射イヤだねー、などと言った声掛けをされるとどうぶつ達は一気に緊張することもあります。

このようなことはなかなか証明し辛いものです。

そのような中、当院の受付でいつも流れているどうぶつの専門チャンネルに、犬と猫のそれぞれの飼主とのトラブル解決番組があります。
これによりますと、ヒトと一緒に暮らすどうぶつ達は、飼主の気持ちを敏感に感じ取っていて、そこを変えることで問題が解決されるところをよく目にします。

先日来られたネコさんのことです。
もともと穏やかなネコさんなので、特別な問題はなかったのですが、やはり治療のときにはやや緊張気味でした。
飼主さんは、何かしてあげられることはありませんか?とのことでしたので、できるだけリラッスクさせて上げてください。と、声掛けのお話や、まずはご自身がリラッスクを心がけていただくようにお話をしました。

僕や看護師達は準備かがしっかりとできていますが、そこに飼主さんにも参加してもらうときには皆でやさしく接することが大切です。

穏やかな雰囲気の中で治療が進んでいきました。
このネコさんは1日おきに何回か通院が必要でしたので、その度に緊張することが少なくなっていきました。
普通は逆です。
毎回緊張が増すことが多い場面です。

飼主さんの声掛けの威力、そしてご自身でもリラ〜ックス、リラ〜ックス、とまるで自己暗示をかけるがごとくネコさんに語りかけていらっしゃいました。

リラ〜ックス、の意味はネコさんには伝わらないかも知れません。
しかしながら、そのときに雰囲気はしっかりと伝わっていて、穏やかな気持ちになってくれることがあります。

気持ちと気持ちのコミュニケーションは言葉と違ってストレートですので、難しいところもありますが、こうして通じていることはとても嬉しいことだと思っています。

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