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再開とお別れ - 犬の肝臓がん -

いつもより少しだけゆっくりできそうな休日になりました。


3週間ほど前のことです。
およそ6年ぶりにお会いしたワンコはすでに自分では立つことができない状態でした。

とても優しいおばあちゃんに飼われているそのワンコは、かつてほとんど毎月のように通院をされていました。
「せんせいのところへ行こうね」というと喜ぶんです。
毎回そのようにお話をしてくださっていました。

治療していた病気が落ち着いて来たこともあり、来院がなくなりました。
それを最後にして再開したのはそれから6年ほど経った3週間前のことです。

おばあちゃんはこれまでのことをたくさんお話しくださいました。
ご自身のご病気のために、当院までの移動手段をお持ちでないなかで通院ができなかたこと。
息子さんにワンコのことをいろいろとお任せされていたこと。
ご自宅近くの動物病院であったできごと。
などなど。

おばあちゃんもすっかりとお疲れの様子でした。
一目見て、そのワンコがかなり厳しい状態であることは、おそらく獣医師である僕だけではなく、誰の目からも明らかだったと思います。

まずは何が起こっているか診てみましょう。
血液の検査、レントゲン検査、お腹のエコー検査。
そこでの診断は末期の肝臓の癌ということでした。

おばあちゃんにゆっくりとご説明しました。
よくない話になるだろうと覚悟されていたように見えました。
肝臓の癌ということは想像されてはいませんでした。

この状態で手術はできません。
体力の回復も難しいと思いました。
率直にわかったことと、思うことをお話ししました。
頑張っても1週間くらいだろうと、とても再開のお話ではなくなっていました。

食事をとることができなくなっていましたので、点滴をしたり、どうにか何か食べて欲しかったので、食事を用意したり。
できることは限られていましたが、考えられることを全て提案し、ご希望のものを進めることにしました。

それから2回来院されました。
その2回目の来院が最後になりました。

お電話で最後の様子を教えてくださいました。
せっかく6年ぶりに再開できたにも関わらず、僕の力及ばず、お別れしなければならなくなりました。

そして昨日のことです。
おばあちゃんがご挨拶に来てくださいました。
笑顔でした。

実はあまりよくないことはわかっていました。
そのようにお話をされました。
動物病院を怖がる子はいるでしょ?
でも、うちの子はここが大好きだったんです。
私が病気をしてから、ここまでの足がないものだから連れて来られなくなって。
病気だと思っていたけど、私も息子もあの子は長生きなのだからって、いろいろと治療のことだけを考えていた訳ではなかったんですよ。
肝臓の癌だとわかって、元気がない原因がわかって。
やっぱり仕方がないんだって。
こちらにまた伺おうと思ったのは、だんだんと元気がなくなるこの子の最後に何か喜ぶことしてあげたいなって。
そう思ったときに、大好きだった動物病院に連れて行ってあげようって。
あの子、喜んでました。

獣医師としては元気にすることができなかったことは敗北です。
人として6年の時を経て思い出していただけたこと。
そして何かしらのお役に立てたかも知れないことは、逆に僕の方が慰められました。

きれいなお花に囲まれた最後の写真を見せていただきました。
それを微笑みながら見せてくださったおばあちゃんの、穏やかな表情が印象的です。

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