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そろそろ節分 - 犬の椎間板ヘルニア -

新しい年が明け、バタバタとしているうちに、もうそろそろ節分ですね。
週末に向けてまた寒くなるようですが、それでも暖冬ではあるのかも知れませんね。

今月、年が明けてからですが、すでにいろいろな手術がありました。
病気や怪我は日を選びませんから、お正月だからと言っていつもと特別に変わることはありませんでした。

体の表面の腫瘍を取り除いたり、口の中のできものと取り除いたり、膝蓋骨脱臼の手術3件、全十字靭帯の損傷の治療、椎間板ヘルニアの手術に、背骨にできた腫瘍で起こった胸椎骨折の手術、唾液腺摘出に、陰茎切断、子宮蓄膿症などなど。
普段はそれほど多くはない、いわゆる珍しい手術もありました。

新しい機器が導入され、特に子宮蓄膿症の手術時間は短縮されました。
これまで出番がなかった、骨セメントを使った胸椎固定も新たな試みでした。

日々進化していかなければいけませんが、そういう意味では今年はこの1月足らずで1歩ほど跳躍できたような気がしています。

椎間板ヘルニアの子のお話です。
まだ若い子で、とても元気でした。
突然背中に痛みを訴えて来院されました。
歩けて、走れて。
レントゲン検査をしたり身体検査をしたり、足を触ったり、背中を少しばかり押してみたり。

まずは薬で様子を見てみましょう。
飼い主さんにそのようにお話をしました。
椎間板ヘルニアという名前は多くの方々が知っている病気ですが、どのような症状が出るのか、どのように治すのか、どのようになっていくのかはそれほど知られていません。
飼い主さんも初めは半信半疑だったかも知れません。

翌日、僕は少しは楽になったのではないかと、楽しみにしながらワンちゃんを診察室に通しました。飼い主さんの顔がとても心配そうで、あまり良くないことになっているのだと直感しました。

診察してみますと、ワンコは後ろ足が全く使えなくなっていました。
椎間板ヘルニアの症状が悪化していました。
前足だけでどんどんと歩く姿に心を痛めていらっしゃいました。

このようなことを含め、飼い主さんにはいろいろなお話ができていましたから、ある程度の想定を持って今後を進めていくことにしました。

ワンコも若く、飼い主さんご夫婦もお若い方々です。
突然歩けなくなったらどれだけ辛いだろうかと思いながら、必要な検査のお話から始めました。

まず薬の治療には反応があまりなく回復の期待が少ないですから、手術を行うことでお話を進めました。
MRI検査を行います。
その日はいつもよくお願いする検査センターがお休みでしたので、近くの別の検査センターにお願いをしました。
そのセンターでは専門的に椎間板ヘルニアの手術も行っていますので、飼い主さんには検査はそこでしかできませんが、手術はそこかうちかの選択はお任せしますということにしました。

検査前には飼い主さんと色々なお話をしました、
今起こっていること。
これから起こるかもしれないこと。

検査でわかること。
手術の方法。
などなど。

この飼い主さんとは本当に色々なお話をしました。
手術前、後、入院の最中を含め、おそらくは4-5時間くらはお話したのではないでしょうか。
ご質問がたくさんおありだったこと、一番はそれほど心配が大きかったことだと思います。

お話の度にご安心を提供できていたらいいのですが、一番はワンコがしっかりと両足で歩けるようになることでしょう。

今回は背骨の腰のところに広い範囲の椎間板ヘルニアが見られました。
通常は1か所の椎間板ヘルニアの手術が多いのですが、今回は複数か所。
背骨のやや広い範囲に穴を開けて、そこから飛び出した椎間板物質と呼ばれるものを取り除きます。

背中にメスを入れ、まずは背骨を露出するために、背骨についている筋肉を剥がします。
その後で背骨の関節(関節突起)についている腱や血管を処理し、そこから骨に穴を開ける作業に入ります。

ラウンドバーと呼ばれるドリルのような物を使って、そっとそっと背骨を削りながら穴をあけていきます。
間違ってしまうと、麻痺は悪化して治らないものになりますから、とにかく慎重に削っていきます。

ラウンドバーから出る熱を逃がすために水(食塩水)を使ったりしながら、やや広い範囲を削って穴をあけました。
そこから見える脊髄神経の底をそっとそっと掻き出して、椎間板物質を取り除きます。


初めは自分で排尿が行えませんでしたが、手術後3日目からはできるようになりました。
積極的に動くようになり、元気もかなり出てきました。
入院中は毎日面会に来られていましたが、初めはそれほど喜びを表現していなかったワンコも、だんだんと会うたびにクーンクーンとなくようになりました。
飼い主さんはそれを待っていらしたようで、いつもの調子に戻ったみたいだと喜んでいらっしゃいました。

それでもまだ退院の日までには歩けてはいません。
そっと補助して立たせると、立ったままをキープすることはできていましたが、歩くには至りませんでした。

ここからです。
リハビリ、時間の経過、そして思いやり。
数日間の入院期間でも目に見える進歩がありました。
きっと抜糸の頃には歩けるようになっていると願っています。

まだまだ若い子です。
これからの方が長いわけですから、ここで歩けない子にさせるわけにはいきません。

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